背骨の歪みは骨盤の前傾や回旋、アンバランスな筋肉によって引き起こされることがあります。歪んだ背骨はすぐに改善することが難しいため、日頃から姿勢を正したり、ストレッチで筋肉のバランスを整えたりして、徐々に治していくことが大切です。今回は、女性特有の背骨が歪む原因や、放置するリスクについて解説していきます。
目次
背骨が歪むとはどんな状態?
背骨が歪むとは、背骨自体が変形しているわけではありません。背骨は、頭と骨盤の間にある骨で24個の骨から構成されています。上から頸椎、胸椎、腰椎と3つの範囲に分けられ、ゆるやかなS字を描いているのが正常な背骨の形です。
背骨の周りには筋肉があり、日常で片側の筋肉ばかりを使っていると、背骨のS字が崩れたり、左右に湾曲します。背骨がS字の形から崩れてしまうことを、一般的に「背骨が歪む」といわれています。
女性特有の背骨の歪みの原因
背骨の歪みは姿勢の悪さだけでなく、ハイヒールの着用や妊娠による影響など女性特有の原因もあります。
女性の背骨が歪む原因について、以下に詳しく解説します。
普段の体の使い方
背骨は普段の体の使い方によって歪むことがあります。片側ばかりで荷物を持つ癖や無意識のうちに足を組んでいたり、片足重心をしていたりなど、日常の癖が背骨の歪みに影響を与えていることがあります。
左右または前後に偏った体勢をとる仕事や、長時間同じ姿勢になりやすいデスクワークなどをしている方は注意が必要です。
運動不足
運動不足も背骨が歪む原因になる場合があります。筋力が低下すると、背骨をしっかりと支えられなくなる可能性があるからです。
在宅ワークなどで外出しない生活を続けていると、歩行時に使われる骨盤周りの筋肉が衰えやすくなります。また、筋肉が衰えると、柔軟性も低下するため筋肉が硬くなります。
外出頻度が低い方は、普段から歩く習慣をつけたり、ストレッチなどで体を柔らかくすることを心がけましょう。
ヒールの高い靴
ヒールの高い靴を履くとつま先立ちの状態になるため、前方に重心がかかります。
前重心になると骨盤が前に傾くため前傾姿勢になり、体を支えようと腰が反ってしまうことで背骨の歪みにつながります。反り腰が習慣化してしまうと、どんどん背骨が湾曲してしまうので、ハイヒールを履く方は過度に腰が反っていないか意識しましょう。
また、ハイヒールは歩行時のバランスが乱れやすく、歩くたびに背骨がねじれてしまうことがあります。日常的に、ヒールの高い靴を履いている場合、背骨のねじれが癖になり歪みの原因につながる可能性があります。
妊娠・出産
妊娠・出産によって骨盤周りの筋肉が緩むため、骨盤の結合部分がグラグラと動きやすくなります。妊娠中は大きくなったお腹を支えようと腰を反ってバランスをとることが多いので、背骨が歪みやすくなります。
また、「いつも同じ側で子どもを抱く」「同じ姿勢を取り続ける」など、育児期間中における体の使い方の癖にも注意が必要です。緩んだ筋肉がアンバランスな形で硬くなり、そのまま定着してしまう可能性があるからです。
外傷・病気
背骨の歪みは、ケガや病気によって引き起こされることがあります。
生まれつき背骨が歪んでいる先天性のものや、ほかの病気と関連して側弯症になる後天性のものがあります。側弯症は思春期の女児に発生しやすく、成長とともに背骨が曲がってしまう病気です。軽度の場合は、腰痛や脚のしびれなどの自覚症状がないため気づきにくく、肩や腰の高さの違いで発覚することがあります。
また、怪我をしたときに痛みをかばって体を前後左右、不均等に体を使うことで背骨が歪む場合もあります。
背骨の歪みを放置するリスク
自律神経が乱れやすくなる
頭痛が起きやすくなる
ボディラインが崩れやすくなる
肩こり・腰痛が起きやすくなる
背骨は通常S字の形になっており、衝撃をやわらげるクッションの役割を果たしています。
しかし、歪みにより背骨が真っ直ぐになっていると、衝撃があったときに負荷を分散できず、腰にかかるダメージが非常に大きくなることでしょう。背骨の歪みは神経に負荷を与えやすくなるため、腰だけでなく体上部の負担にもつながり、肩こりが発生しやすくなります。
自律神経が乱れやすくなる
自律神経は交感神経と副交感神経からなっており、内臓や血管など全身の器官を正常に働かせるための重要な役割を担っています。背骨が歪んで自律神経が乱れると、さまざまな病気を引き起こす可能性も否定できません。
たとえば、血管に影響する神経にダメージがかかると、血管の柔軟性をコントロールできなくなり、高血圧や動脈硬化などのリスクが考えられます。
背骨の歪みは、自律神経の乱れにつながり結果的に全身の不調を起こしやすくします。
頭痛が起きやすくなる
姿勢の悪さや片側ばかりの筋肉を使うことで、背骨のずれが起こる可能性があります。特に、頸椎の横には脳につながる血管が存在することから、背骨のずれにより血管が骨と骨の間に挟まれてしまうかもしれません。血管が狭まると、脳に運ばれる血液量が減少するため頭痛を引き起こしやすくなります。
ボディラインが崩れやすくなる
背骨が歪むとボディラインが崩れやすくなります。
たとえば、骨盤が開くことによりお尻が垂れたり、反り腰によって下腹が出やすくなったりします。
また、背骨は頭蓋骨にもつながっているので、背骨が歪むことにより顔の歪みや噛み合わせの悪さにも影響するでしょう。噛み合わせの悪さは、さらに顔の歪みを悪化させてしまうため、早めの治療が必要になります。
背骨の歪みセルフチェック
鏡に向かって真っ直ぐ立ったときに右肩と左肩の高さが異なる | はい | いいえ |
人に背中を見てもらい、左右の肩甲骨の高さが異なる | はい | いいえ |
壁に後頭部・背中・腰・かかとをつけて立ったときに、腰を壁の間に全く隙間がない。あるいはこぶしが入るほど隙間が空いている。 | はい | いいえ |
長座で座り、かかとをつけて力を抜いたとき、左右の足が開く角度に差がある | はい | いいえ |
下2段は骨盤周りの筋肉のバランスが乱れていることが考えられます。
次の項目で紹介するストレッチで、背骨の歪みを改善していきましょう。
背骨の歪みを改善するストレッチ
背骨の歪みを改善するには姿勢の改善だけでなく、ストレッチも重要です。
ストレッチにより、凝り固まった筋肉がほぐされ前後左右の筋肉のバランスが改善されやすくなります。
体側伸ばし
2.体側を伸ばす
3.反対側も行う
腰とわき腹の伸びを感じるところまで、体を倒しましょう。
すっきりもも裏ストレッチ
2.片足を台などに置く
3.もも裏を伸ばす
4.反対側も行う
まずは真っ直ぐに立ち、片足を安定した場所に置きます。胸を張り、背筋をのばしたまま、腰を前のほうに押し出します。もも裏の伸びを感じたら、そのまま15~30秒キープしましょう。反対側も同様におこないます。
左右振り子エクササイズ
2.左足を大きく3回、左右に振る
3.反対側も行う
4.3セット行う
前後振り子エクササイズ
2.左足を大きく3回、前後に振る
3.右足も行う
4.3セット行う
左足が終わったら右足も同じように、大きく前後に動かします。股関節から動かすことを意識してください。
お尻上げ下げ体操
2.お尻を左右交互に上げ下げする
3.3回3セット行う
椅子に座り、背筋を伸ばして姿勢を正します。姿勢が真っ直ぐになったら、お尻を左右交互に上げ下げします。
すっきり前ももストレッチ
2.上側の足首を掴み、そのままうつぶせになる
3.ゆっくり前ももを伸ばす
4.反対側も行う
手足ぶらぶらストレッチ
2.ぶらぶらと小刻みに揺する
上げた手足をぶらぶらと小刻みに揺らします。このとき力が入っていると意味がないので、力を抜いた状態でゆすりましょう。
上半身ぶらぶら体操
2.上半身の力を抜き、ぶらぶらと小刻みに揺らす
長時間同じ姿勢で凝り固まった筋肉をほぐすように小刻みに揺らしてください。
背骨の歪みは全身の不調につながる可能性あり!早めの対策を。
背骨の歪みはボディラインが崩れるだけでなく、神経が近くに存在することから全身の器官に影響を及ぼします。腰痛や肩こり、頭痛が慢性化すると日常生活に支障をきたすことも考えられるでしょう。背骨の歪みは姿勢の悪さや筋肉量の低下、左右バランスの乱れが考えられるので、ご紹介したストレッチに加えて普段から姿勢を正すことを意識してみてください。