ゴルフ界には「パット・イズ・マネー」という格言が存在します。ドライバーの飛ばしは爽快で気持ちのいいものですが、ベスト更新やスコアの安定を考えたらパターの精度を上げるのが一番の近道です。そして、そのパターの精度に深く関わっているのが打つ時の「姿勢」です。今回はパターと姿勢の関係について、医学博士で理学療法士の金子雅明先生とパターに精通する人気ゴルフコーチ、大本研太郎プロに話を聞きました。
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ゴルフ上級者でもパターの姿勢が崩れているケースが多い
今回、パターと姿勢の関係について調査する中で、とある実験を行いました。実験に協力してくれたのは、ゴルフ歴が20年以上でベストスコア69、安定して70台のスコアでラウンドするというゴルフ上級者の甲斐哲平さんです。
甲斐さんには、大本プロのゴルフスタジオに設置されている専門機器「サムパットラボ」と「クインテックボールロール」を使用したストローク解析を受けてもらいました。これらの機器をセットした状態で、3メートルほど離れたカップに対してボールを打つだけで、ストローク中のパターヘッドの向きや位置、軌道などの詳細なデータを取得することができます。ゴルフ上級者ながら、パターには少し苦手意識があるという甲斐さんのストロークはどのようなものだったのでしょう。
「甲斐さんは、目標に対してフェースを0.1度閉じて構え、そこからアウトサイド・インのカット軌道でヘッドを下ろし、インパクトでは1.0度フェースを開いた状態でボールを打っていました。アドレスでヘッドを構えた位置よりもインサイドからヘッドが下りてきており、“前後差”がある状態になっています。長年ゴルフをやってきた感覚を生かして、手先で操作して上手く狙った方向にボールを打っていますが、プレッシャーのかかった状況でミスになりやすい不安定な打ち方だと言えます」(大本プロ)
甲斐さんのストローク解析をチェックしていた金子先生は、打つ時の姿勢に問題があると指摘します。
「構える前の立ち姿を見ると、甲斐さんはお腹が前に出て、反り腰になっていました。頭も前に出て、胸が丸まっていますので、体が正しく動くための準備ができていない状態です。また、真っすぐ立っているのに、骨盤が右側に開いていたことも気になりますね。ゴルファーは右サイドにクラブを振り上げる動きを頻繁に行うため、甲斐さんのように骨盤の向きがズレているケースが少なくありません」(金子先生)
大本プロも同様に、ストローク時の姿勢が問題の「前後差」を生んでいると分析します。
「アドレスを取った時に重心がカカト側にあり、これは骨盤が後傾していることを示しています。カカト重心の分、体が起き上がり、構えを後方から見た時にボール位置がおでこの下に来ています。本来は眉毛の下くらいにボールを置くのが理想ですので、甲斐さんは少しボールから離れ過ぎていて、それが打点のブレにつながっています」(大本プロ)
『DELIT TECH(デリットテック)』の着用でパターの姿勢もストロークも改善!
続いて甲斐さんには、『DERIT TECH』のスパッツと靴下を着用して、同様のストローク解析を実施してもらいました。姿勢や打ち方は特に矯正せず、着用前と同じ感覚でボールを打ってもらいましたが、解析結果には明らかな変化が見られました。
「驚きましたね。データが全然違います。気になっていたヘッド軌道の前後差が減って、理想に近い打ち方になりました。アドレスでは目標に対して0.5度フェースを閉じて構え、インパクトではそれが0.1度だけ開いています。つまり、構えた方向に対して、かなりの精度で真っすぐボールを打ち出せていることになります。パターで理想とされる“アドレスで構えたところにヘッドを戻す”という動きがツアープロに近いレベルで実践できています」(大本プロ)
金子先生は『DERIT TECH』の着用前後で、姿勢の変化があったと話します。
「着用後の甲斐さんの姿勢を横方向から見て、耳から垂直なラインを引くと、キレイにくるぶしのちょっと前に落ちています。後傾し、右に開いていた骨盤が真っすぐでニュートラルな位置に戻り、それに伴って、頭の位置や背中のラインも非常にキレイな姿勢になりました。さらに『DERIT TECH』の靴下を履くことで、足裏も安定しています。上体がリラックスしていて、運動をする準備がしっかりできた状態に変化したことがパターの打ち方にも影響しているのだと思います」(金子先生)
甲斐さんの着用前後の立ち姿を並べてみると、姿勢の変化は一目瞭然。この姿勢の変化がパットの打ち方にも大きく影響しているようです。
「甲斐さんは、重心のバランスが崩れるのを補うために筋肉を使って、ヘッドの軌道を無理にコントロールするような打ち方をしていました。それが『DERIT TECH』を着用することで、骨盤が前傾し、ボールも眉毛の真下に来る理想的な姿勢に近付きました。そのため、打ち方がスムーズになり、ナチュラルなヘッド軌道で非常に安定しました。ツアープロに近い再現性の高い打ち方ができるようになったのです。正直、ここまでの変化が起きるとは思いませんでした」(大本プロ)
パターにおいて姿勢が大事な理由を徹底解説
甲斐さんは『DERIT TECH』を着用し、姿勢が変化したことで、パットの打ち方そのものが変わりました。まさにパターと姿勢の深い関係が実験によって明らかになったわけですが、なぜこれほどまでに大きな変化が起きたのでしょう。ここからは金子先生と大本プロの対談形式で、パターにおいて姿勢が大事になる理由を解説していきます。
大本 私はレッスンをする時、必ず「姿勢」をチェックするようにしています。疲れた状態と普段の差を見たりもしますし、パターの指導で特に大切にしている部分でもあります。なぜなら姿勢の安定がなければ、打ち方は絶対に安定しないと考えているからです。
金子 パターは運動として見ると動きの少ないものになりますが、それだけに重心位置のコントロールがとても大切になります。正しい重心位置で立ち、重心の移動性をどれだけ少なくできるか。骨盤をニュートラルなポジションに置き、足裏の正しい位置に重心を落とすことで、胸椎にリラックス感を出すことが、スムーズな打ち方につながります。
大本 アドレスを取った時に下半身と胸椎が分離して動くようにすることが一番のテーマになりますね。骨盤がちゃんと前傾しなければリラックスしたアドレスはできませんし、体も正しく機能しません。下半身が安定し、上体は脱力して肩甲骨で動かすようなストロークができれば再現性が高まりますし、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いてカップインを狙うことができるようになります。
金子 下半身の安定には、足裏の感覚を磨くことが大切です。人間がどうやって立っているのか、ゴルファーの方にはぜひ知ってもらいたいですね。人は足裏の親指の付け根、小指の付け根、カカトの中央部分の3点で作られる「三角形」を地面に接地させて立つのが理想です。多くの人は重心が後ろに行き過ぎたり、横にズレたりしています。
大本 足裏が安定すると、体の可動域も上がります。安定して立つことができると足裏の感覚も研ぎ澄まされてきて、ゴルフでもメリットが大きいです。いつも生徒に、“人は転ばないセンサーを出している”という話をします。足裏が不安定だと転ばないようにバランスをとることに意識が持っていかれてしまうのです。重心が安定することで脳に余裕が出て、正しいストロークをしてあげようという状態になります。
金子 パターでは体の向きとフェースの向き、つまりボールを打ち出したい向きが揃うことが大切です。『DERIT TECH』を着用することで、右寄りにズレていた体の向きが正しく矯正されたこともストロークが向上した一因になっているでしょうね。
『DERIT TECH』がパターの正しい姿勢作りをサポートしてくれる
パター、ひいてはゴルフの上達のために姿勢がとても大切なポイントになることは分かりました。一方で気になるのは、どうすれば正しい姿勢を身に付けることができるのかということです。
金子 正しい姿勢を身につけてもらうには、体のどの部分を緩めれば動くのかということを理解してもらうことが大切です。ピンポイントで重要な部分を緩めていけば1~2週間ほどで姿勢はかなり改善されるはずです。
大本 私も金子先生の指導を受けていますが、最近やっと正しい歩き方が少しずつ身に付いてきました。専門家の指導をしっかり受けることで、姿勢は確実に良くなります。でも、先ほどの甲斐さんの変化を見ると、『DERIT TECH』を着用し、姿勢を改善させるためのサポートとして活用するのはアリですね。人の感覚は日によって変わりますし、今日指導を受けて良くなっても、明日になったら忘れている可能性が高いですから。
金子 真の意味で姿勢を良くするには、正しい姿勢を体が理解し、筋肉が覚えるように運動学習させる必要があります。『DERIT TECH』は履くだけで骨盤がニュートラルなポジションに入りますし、お腹の奥にあるインナーマッスルに厚みが出るという研究結果も出ています。着用を続けることで、無意識に運動に必要な姿勢が取れるように脳から指令が出るようになっていきます。
大本 正しい姿勢ができれば、正しい呼吸もできて、脳に酸素が回るようになります。プレッシャーに強いメンタルを作ることもできますね。正しい姿勢を作ることは、さまざまな技術を習得する上でスタート地点になります。闇雲にボールを打つよりもはるかに大切なことですので、多くのゴルファーに知ってもらいたいです。
金子 ぜひ『DERIT TECH』の靴下も同時に試していただきたいです。足裏の大事な筋肉が動くように設計していますので、履くだけで足裏の三角形で立つ感覚になり、感覚も鋭くなっていきます。
大本 骨盤と足裏、運動における2つの大事な部分が動くようになるわけですね。
金子 スパッツによって骨盤をニュートラルなポジションに戻し、関節がよく動く状態を作ります。そして、靴下によって地面と接する足を動く状態にする。この2つの相乗効果によって、体全体が正しく動くようになるのです。
大本 まさに安定性とモビリティ(可動性)を生むアイテムが『DERIT TECH』ですね。
金子 モビリティは良い言葉ですね。『DERIT TECH』が大事にしていることがまさにそのモビリティで、筋肉を締め付けるのではなく、皮膚センサーに働きかけることで筋肉が動くように工夫しています。安定するだけでなく、運動につなげる準備が整うことこそ、『DERIT TECH』の一番のメリットなんです。
大本 姿勢が変わればゴルフも、そしてパターの精度も変わります。あの検証結果を見てしまったら、ゴルフで『DERIT TECH』を使わない手はありませんよ。ラウンドでは絶対に履くようにします!
パターを上達させるには、膨大な数のボールを打たなければいけないと考えがちです。しかし、体が正しい姿勢を取っていなければ、どれだけボールを打っても真に上達することはできません。甲斐さんの例からも分かるように、『DERIT TECH』は履くだけでストロークそのものを改善してくれる効果が期待できます。ぜひ、パターに悩んでいるなら、ぜひ一度試して見てください。驚きの変化が起きるかもしれませんよ。
金子雅明
株式会社キネティックアクト 取締役
プライマリメディカルサポート B&Dマネージャー
理学療法士
博士(医学):順天堂大学大学院医学研究科スポーツ医学
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
東麻布にあるプライマリメディカルサポートにてトップアスリート以外にもジュニア、シニアまで幅広い層のコンディショニングサポートを行いながら、アスレティックトレーナーの資格を持ち、幅広い競技の選手指導を行っている。NPBプロ野球選手、プロテニスプレーヤー、プロゴルファーから厚い信頼を得ている。
大本研太郎
ツアープロコーチ
PGAティーチングプロA級
2018年ティーチングプロアワード 最優秀賞受賞
レッシュプロジェクト・マスター級トレーナー
GPC恵比寿ヘッドコーチ
ティーチングプロとして、初心者からツアーで活躍するプロゴルファーまで幅広いレベルのゴルファーを指導。個々のレベルや体の特性に合わせたレッスンが人気で、主宰する「GPC恵比寿」には全国から生徒が通っている。スタジオ内にはパターレッスン専用の「パットラボ」を構えており、「サムパットラボ」や「クインテックボールロール」などの最新機器と最先端の理論を駆使したハイレベルなパターの指導も行っている。