まずは自分の骨盤の状態を正しく理解しよう!
「お尻の大きさが気になる」「背中や腰にかけて痛い」といった、下半身に関する悩みを抱えている人は珍しくありません。日常で感じる下半身の不調は、骨盤が原因の可能性があります。そのため巷には、骨盤矯正に関する様々な情報とグッズが多いのです。しかしながら、骨盤の位置や役割に関する情報は、専門的であるがゆえにあまり多くはありません。そこでこの記事では、骨盤の基本的な情報を解説します。また後項では、骨盤の正常・異常をセルフチェックできる7つの方法をご紹介いたしますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
骨盤とはどこ?
本項では、骨盤の基本的な情報を解説します。骨盤の位置はもちろんのこと、重要な役割まで詳しくご紹介していきましょう。
骨盤はどこにあるのか
骨盤とは、腰からお尻まわりを支える大きな骨のことです。寛骨(かんこつ)、仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)と呼ばれる3つの骨から構成されています。周辺には股関節(こかんせつ)や大腿骨(だいたいこつ)、腰椎(ようつい)など身体の動きにとって重要な骨があることも特徴です。
また、男性と女性で形状や位置に違いがあります。女性の骨盤は、妊娠・出産をスムーズに行うために、男性の骨盤よりも低い位置にあるのが特徴です。さらに寛骨の1つである腸骨(ちょうこつ)が横に開いている傾向があります。これも、妊娠・出産をスムーズに行うための特徴です。一方男性の骨盤は、恥骨結合下部の角度が急(狭い)なため、女性の骨盤と比較した際、縦に長くコンパクトな印象になります。
骨盤の役割
骨盤には、いくつか重要な役割があります。本項では、骨盤の主な役割について、詳しくご紹介していきましょう。
上半身を支え下半身のバランスを保つ
骨盤には、上半身を支える役割があります。前項でご紹介したように、骨盤の真上には上半身の基礎となる腰椎(背骨)があり、それらを整え維持しているのです。
また、骨盤は直下にある大腿骨やそれに連なる下半身のバランスを整える役割もになっています。骨盤の機能が低下するとO足やX足、下半身のむくみやすさに繋がるなど、影響は広範囲に広がるのです。
内臓や生殖器を支える
骨盤は、周辺臓器や生殖器を守り、機能をサポートする役割を担っている重要な骨です。骨盤が歪んだり、正常ではない場所に動いてしまうと、周辺臓器は不必要な圧迫を受けてしまいます。
また、骨盤の移動や歪みに合わせ、周辺臓器も本来あるべき位置から動いてしまうと、機能低下や関連臓器の不調など、広範囲に悪影響を与えてしまうことも注意しなければなりません。
正しい座り姿勢を維持する
骨盤を形成する骨の一つである寛骨。寛骨は、腸骨(ちょうこつ)、恥骨(ちこつ)、坐骨(ざこつ)の三つの骨の集合体です。人間が座る際、寛骨の一つである坐骨が大きな役割を果たします。坐骨は上半身の負荷を担い、他の部位に負担がかからないよう座位姿勢を維持しているのです。
仮に、骨盤が前後どちらかに傾くまたは、左右に歪んでしまっている場合、坐骨への負荷が偏ってしまいます。さらに、負荷を軽減するために背中が曲がったり、下腹部が前後に出るなど、悪い姿勢が加速しやすいのも特徴です。
衝撃を吸収する
人間が歩く際、身体には衝撃が加わります。一歩あたりの衝撃は、ウォーキング程度の緩やかな歩き方で体重の約1.2倍~1.3倍です。2014年、厚生労働省の調査では、日本人は一日に約7,000歩も歩いていると発表されました。つまり、身体には合計420トン~455トン(体重50キログラムと想定)の衝撃が毎日加わっていることになります。こうした歩行の衝撃を吸収する役割を担っているのが骨盤です。
足から加わる衝撃を股関節から骨盤が吸収し、上半身への影響を抑えています。そのため、骨盤の機能が低下してしまうと、歩行の衝撃が上半身に影響を与えやすくなり、腰痛や肩こり、背中などの広範囲な不調に繋がる恐れがあるのです。
骨盤正常・異常セルフチェック7つ
骨盤には重要な役割があり、異常をきたした際の様々なデメリットも判明しました。しかしながら、骨盤は身体の内部に存在し個人では目視できないため、正常か否かを判断することは容易ではありません。
そこでここからは、自分でできる骨盤正常・異常セルフチェック法をご紹介します。自分の骨盤の状態を深く知ってみましょう。
①壁に背中をつけてチェック
壁に背中全面をつけて立ちましょう。次に、壁と腰の間に左右どちらか一方の手を差し込みます。その際、手のひら一枚分の隙間があれば、骨盤は正常値と判断して問題ありません。
もし、隙間が手のひら一枚分より大きい場合は、骨盤が前傾している可能性があります。壁と腰との間が狭く、手のひら一枚分の隙間もない人は、骨盤が後傾気味です。
②足踏みチェック
足踏みチェック法は、壁がなくても、狭いスペースでも骨盤の正常・異常をチェックできる方法です。目を閉じて、その場で50回足踏みしましょう。目を開けた場所が、目を閉じる前とどの程度離れているかによって、骨盤の状態を判断します。
目を開けた場所と目を閉じる前の場所がさほど離れていない人は、骨盤の状態が正常と判断して問題ありません。目を閉じた場所から左右どちらか一方に離れている場合は、骨盤の左右どちらか一方への傾きが考えられます。目を閉じた場所から前後どちらか一方に離れてしまった場合、骨盤の前後傾きを懸念しなければなりません。
③片足立ちチェック
足踏みチェックと同様に、狭いスペースでも行える骨盤チェック方法です。左右それぞれ、10秒ずつ片足立ちします。左右どちらから始めても問題ありません。
左右どちらも問題なく10秒間続けられれば、骨盤は正常と判断して良いでしょう。しかしながら、片足立ちの最中、猫背の状態になっていた場合は、骨盤が前後どちらかに傾いている可能性が考えられます。また、左右どちらか一方が10秒以下だった場合、骨盤の左右どちらか一方への傾きが考えられるため注意しましょう。
片足立ちチェックは、狭いスペースでも行えるというメリットがある一方、転倒のリスクが考えられるため、家族や友人と一緒にチェックするのがおすすめです。自分一人でチェックしたい人は、壁や動かない大型家具などの側で行い、万が一身体を支えられる状態で実施しましょう。
④仰向けねじりチェック
仰向けチェックは、転倒のリスクがないため、年配層でも安心して行える方法です。まず、両膝を立てて仰向けに寝転がります。両手の位置は身体に近くても、離れていても問題ありません。膝を立て寝ころんだ状態で、左右にそれぞれ膝を倒します。左右どちらも問題なく倒せた人は、骨盤の状態が正常だと判断して問題ありません。
どちらか一方が倒しやすく、どちらか一方が倒しにくいと感じた場合は、骨盤の歪みが考えられます。この場合、倒しにくい方ではなく、倒しやすいと感じた方に歪みが考えられます。
⑤仰向けチェック
仰向けねじりチェックよりも、簡単に判断できる方法です。仰向けねじりチェックと同様に、膝を立てた状態で仰向けに寝転がります。その際、膝同士を無理にくっつける必要はありません。両足とも、楽な状態で立ててください。
立てた膝の高さが左右で異なる場合は、骨盤の歪みが考えられます。また、膝を立てた状態での仰向け姿勢が辛いと感じる人は、骨盤だけではなく背骨等の歪みも懸念されるため、より一層の注意が必要です。
⑥左右歪みチェック
自宅に上半身が映る鏡がある人におすすめするチェック方法です。鏡の前で背筋を伸ばして立ちます。この際、鏡に頭頂部まで映っていなくても問題ありません。鏡に映った左右の肩の位置が平行であれば、骨盤の歪み無しと判断できます。
一方、左右どちらかに肩が下がっている場合は、下がっている方の骨盤も傾いているまたは歪んでいると考えられるため注意が必要です。このチェック方法は、肩や背中に力が入っていると正しく判断できないため、肩の高さをチェックする前に身体の力を抜き楽な姿勢であることを確認してから実施しましょう。
⑦長座チェック
長座チェックは、立ちながらのチェックや寝姿勢でのチェックが難しい人におすすめのチェック方法です。まず膝を伸ばした状態で、床に座ります。ソファーの上で行うと、ソファーそのものの浮き沈みに左右され正確な判断が難しくなるため、できるだけ床で行ってください。両手のひらは肩より後ろに置き、倒れこまないように身体を支えましょう。
次に、両足のかかとをくっつけます。かかとをくっつけた際、つま先の高さが同じであれば、正常と判断して問題ありません。つま先がどちらか一方下がっていたり、そもそもかかとをピッタリとくっつけるのが難しい場合は、骨盤の異常が考えられます。
チェックのポイント
本稿でご紹介したセルフチェックは、自分一人で行えるものばかりですが、家族や友人など自分以外の人と一緒にチェックすることで正確性を高められます。自分以外の客観的な視点により、高低差や左右の違いをより明確に判断できるためです。
また、一つだけではなく、複数のセルフチェックを試してみるのも良いでしょう。複数のセルフチェックを行うことで、より詳しく自分の骨盤の状態を理解できます。ちなみに、セルフチェックを行うタイミングは、朝晩どちらでも構いません。しかしながら、疲労感が溜まり身体が硬くなっている時や生理周期など、通常時とは異なるタイミングでの実施は避け、リラックス状態での実施がおすすめです。
チェックのポイント
本項では、骨盤の不調を改善する具体的な方法をご紹介します。骨盤に全く問題がなく、日常生活において不満がない人には、必要のない情報です。しかしながら、前項のセルフチェックにて何かしらの異常が見つかった人や、日常生活において何かしら不調を感じている人にとっては非常に参考になる内容となっています。
自分でストレッチ
骨盤の不調を改善したい人には、自分でできる骨盤矯正ストレッチがおすすめです。自分のスケジュールに合わせて行えるため、忙しい人やできるだけ費用を抑えたい人にも適しています。ただし、自分の骨盤の状態をより正しく理解していなければなりません。自分の骨盤の状態を正しく理解できている人は、下記記事を参考に自分で骨盤矯正ストレッチを行ってみましょう。
整体・骨盤矯正
骨盤の不調をより早く解消したい人には、整体・骨盤矯正がおすすめです。費用や来院時間が必要になるものの、専門家による専門的なアプローチが期待できます。
しかしながら、整体・骨盤矯正を謳っている店舗全てが優れているわけではありません。そのため、整体・骨盤矯正を検討している人は、下記記事を参考に自分に合った店舗を探すようにしてみましょう。
骨盤矯正グッズ
仕事やプライベートが忙しく、来院の時間がとれない人には、骨盤矯正グッズがおすすめです。購入費用は発生しますが、一時的な出費の為、費用を最小限に抑えられます。また、自分のペースで骨盤を矯正できるため、不規則な時間帯で生活している人にも最適です。
骨盤矯正グッズには、筋肉トレーニングアイテムのような大がかりな物はなく、履くだけであったり、座るだけなど簡単でコンパクトな商品が中心です。
筋トレ
骨盤矯正とともに、肉体改造も検討している人には筋トレをおすすめします。骨盤の歪みや偏りの原因には、筋肉不足も含まれる場合が多いためです。ただし、骨盤の状態を正しく把握せず間違った筋トレを行ってしまうと、骨盤の状態を悪化させる可能性があります。まうは本記事を参考に、骨盤の状態を正しく把握しましょう。その後は、下記記事を参考に正しいトレーニング方法を実施してみましょう。
まずは自分の骨盤の状態を正しく理解しよう!
骨盤には、姿勢の維持や衝撃の吸収、内臓等の保護など重要な役割が多数存在します。そのため、少しでも骨盤に異常が生じると、身体のいたる部分に不調が生じる可能性があるのです。また不調への改善努力を怠ると、悪化する場合も多く注意が必要になります。
日常生活で感じていた不調の数々は、実は骨盤の異常が原因なのかもしれません。まずは自分の骨盤の状態を正しく把握することが大切です。正しく把握したのち、本当に自分の骨盤にとって必要な改善策を取り入れるようにしましょう。