骨盤前傾を改善して快適な生活を送ろう
自分の骨盤が前傾なのか後傾なのか、それとも正常な中立なのか知っていますか?骨盤の位置は、全身に様々な影響を与えるため、知っておく必要があります。普段感じている不調が、実は骨盤の位置が原因だったという可能性も…。そこでこの記事では、骨盤の前傾・後傾チェック法の紹介から、骨盤前傾にフォーカスした内容まで詳しくご紹介します。骨盤後傾に関する情報は、下記記事を参考にしてくださいね。
目次
骨盤前傾・後傾チェック方法
本項では、自分の骨盤が前傾なのか後傾なのか、簡単にチェックする方法をご紹介します。また骨盤の位置は、生活習慣や運動の頻度に影響され変化するため、定期的にチェックするようにしましょう。
骨盤前傾・後傾チェック方法
部屋の壁に頭、肩、臀部を密着させて立ちます。左右どちらの手でも構いませんので、腰と壁の隙間に手のひらを入れてみましょう。縦または横にした拳がスッポリと収まる人は、骨盤前傾型です。手のひらが入るまたは、手のひらさえ入る隙間がない人は、骨盤後傾型と判断できます。握った拳は入らないが手のひら以上に入るスペースがある人は、正常な中立型です。
ちなみに、骨盤前傾・後傾チェックをする際は、ヘアスタイルに注意しましょう。後頭部にボリュームが出るヘアスタイルでチェックしてしまうと、正しく判断できない可能性があります。
骨盤前傾・後傾のどちらが多い?
骨盤は前に傾く骨盤前傾型、後ろに偏っている骨盤後傾型、正常な位置にある中立型に分けることができます。実は、この3つの骨盤型は、性別や国籍によって傾向があるのです。そこで本項では、日本人に多い骨盤型や性別と骨盤の変化を詳しくご紹介します。自分の特徴に当てはまっていないか、また自分の骨盤は少数派・多数派どちらに属するのか確認しながら読み進めてみてくださいね。
日本人は骨盤前傾・後継どちらが多い?
日本人には、骨盤後傾型が多いと言われています。80%以上の日本人が骨盤後傾型であり、前傾型が多いのは西洋人です。日本人に骨盤後傾型が多い理由としては、田畑を耕し作物を育てる農耕民族だったことが関係しています。田畑での作業は、中腰になりながら前かがみの姿勢で作業を行う場合がほとんどです。
そのため、頭部や上半身が前傾になりやすく、下半身は後傾気味になります。また、筋肉量の少なさも、日本人に骨盤後傾型が多い要因です。特に背中の筋肉が付きにくく、頭を支えきれず猫背になり、骨盤は後ろに傾きやすくなります。
女性は前傾が多い
女性には、骨盤前傾型が多いと言われています。要因は、大きく分けて2つ。1つ目は、ハイヒールなどの履物による影響です。ハイヒールのような特徴的な履物を長時間使用すると、起立筋(きりつきん)や下肢筋群などの筋肉が硬化していきます。ともなって関節やじん帯の可動性が低下し、バランスを取るために骨盤が前方向に傾きやすくなるのです。
その他にも、運動能力の低下や脊椎可動域の減少、反復動作による負荷などが影響します。日本人女性に特に多いと言われている反り腰も上記理由から発症しやすく、骨盤前傾型の要因となっているので注意が必要です。
男性は後傾が多い
女性と比較した場合、男性には骨盤後傾型が多いです。筋肉量の違いだけではなく、太ももの前面・後面の筋肉と硬化が関係しています。また、女性と男性では、骨盤の形状にも違いがあり、骨盤の前傾・後傾にも変化が見られるのです。
若年層には骨盤前傾型が多い
骨盤前傾型は若年層に多く、年齢を重ねると骨盤後傾型が増えるという調査結果が公表されています。2014年、日本の企業が約4,300名を対象に行った調査結果では、20歳未満の49.6%が骨盤前傾型の特徴に該当していました。
(参照元)
一方、60歳以上の骨盤前傾型は、10%未満です。年配層に骨盤後傾型が多い要因として、筋肉量の低下、ホルモン分泌の変化、生活習慣などが考えられます。
わからない人も多い
骨盤の前傾・後傾や歪みについて、認識していない人も多いです。性別による認識の差も有りますが、自分の骨盤が要因で不調が発生していると認識できていない人も少なくありません。骨盤は、上半身と下半身の中心にあり、それらを繋ぎ支える役割を持っています。全身への絶大な影響力を持つ部位のため、少しでも理解を深めることが重要です。
骨盤前傾になる原因6つ
本項では、骨盤前傾になる主な要因6つをご紹介します。自分の日常生活に当てはまっていないか、確認しながら読み進めていきましょう。
①長時間の座位姿勢
骨盤前傾になる要因の1つ目は、長時間の座位姿勢です。デスクワークや長時間の運転など、日常的に座っている時間が長い人は、骨盤周辺の筋肉が緩くなりやすく、骨盤を正常な位置に保つ力や上半身を支える力が弱くなります。
また、骨盤が前傾になると脊椎に過度な負担がかかり腰痛を発症するケースが非常に多いです。不快感を和らげようと、さらに骨盤を前のめりに傾けるようになり、悪化させる人も少なくありません。
②運動不足による筋力低下
運動不足による筋力の低下も、骨盤前傾の要因です。筋力が低下すると、身体の重心が偏り猫背などの不均等な姿勢になります。さらに、脊椎に不要な負担が加わり、直下にある骨盤が前方向に傾いてしまうのです。
③筋肉の不均衡
骨盤を適切な位置に保つためには、筋肉が均等かつ同様の圧力が加わっている状態が望ましいです。左右または前後どちらか一方にのみ圧力が加わった状態が続くと、骨盤は圧力が加えられた方向に偏っていきます。さらに、骨盤の偏りは、周辺筋肉の引っ張り合いや硬化を引き起こし、より状況を悪化させる場合が多いため注意が必要です。
④体重の増加
体重の急激な増加や適切な範囲外の体重は、骨盤に激しい負担をかけることになり、骨盤前傾を引き起こす要因となります。ただし、細身であれば骨盤前傾にならないというわけではありません。過度なダイエットは骨密度の低下や筋肉量の低下を招き、骨盤前傾を加速させる恐れがあります。
⑤妊娠による影響
骨盤前傾は、妊娠により発生する場合があります。妊娠中は、通常時よりもお腹が出た状態です。そのためバランスを取るために、骨盤が前に傾きやすくなります。また、妊娠は長期的であり、妊娠中の姿勢は定着しやすいのが特徴です。つまり、出産後も骨盤が前のめりの姿勢が治らず、骨盤前傾が継続する恐れがあります。
⑥身体に合わないインテリアの使用による影響
普段使っているダイニングテーブルや会社のデスク、その他家電など、身体のサイズに合っていない物を使っている場合、骨盤が前方向に傾く恐れがあります。たとえば、テーブルの高さが低すぎるケースです。
低すぎるインテリアを使用すると猫背になったり、体勢を維持するために頬杖をついたりします。家電を使用する際、腰を曲げなければならなかったり、背伸びをしなければ使えないなどの不都合はありませんか?通常とは異なる姿勢をとらなければならない人は、骨盤が歪む原因となるため、インテリアの調整が必要です。
骨盤前傾が身体に与える影響
骨盤前傾は、ただ骨盤が前方向にせり出ているわけではありません。前方向に傾き、身体や生活に様々な不調をもたらします。そこで本項では、骨盤前傾が身体に与える影響を解説していきましょう。
腰痛
骨盤前傾は、背骨(脊椎)に過度な負担を与えます。過度な負担は腰痛や背中の痛み、肩甲骨の動かしにくさなどを生じさせるため注意が必要です。また、腰痛が悪化すると痛みを緩和させるために、腹筋を緩めたり、肩や首に不必要な力が加わってしまいます。そのため、骨盤前傾が長期的に続くと、腰痛だけではなく身体の様々な箇所に痛みが生じるため早期の改善が必要です。
疲労感
骨盤が前方向に傾くと、通常とは異なる姿勢で生活しなければなりません。通常とは異なる姿勢での生活は、筋肉や腱、内臓等に多大な負担をかけることになるため、疲労感が増します。最近疲れやすくなったと感じる人、休んでも疲労感がとれないと悩んでいる人は、骨盤前傾が原因かもしれません。まずは、自分の骨盤の位置が正常か、セルフチェックを活用して確認してみましょう。
消化器系異常
骨盤前傾により姿勢が崩れると、体内にある複数の臓器が圧迫されたり、本来あるべき位置からズレることがあります。臓器が本来の役割を果たせなくなり、消化器系の異常や神経系の異常等、様々な不調が発生するため気を付けなければなりません。
また、女性の場合、生殖器への影響も意識しておきましょう。生理痛やPMSなど女性特有の症状にも、骨盤の位置は関係しているためです。急速に女性特有の症状が悪化したと感じる人は、骨盤の歪みや前傾を考えてみる必要があります。
運動パフォーマンスの低下
骨盤前傾は、運動パフォーマンスの低下も招きます。骨盤が前方向に傾くと、首や背中、膝や足首に過度な負担がかかり、腹筋や背筋などの大きな筋肉が硬化していくのです。本来であれば発揮できた運動パフォーマンスも、負担や硬化により発揮しづらくなってしまいます。また、ケガをしやすくなるのも特徴です。身体を動かす仕事をしている人や、スポーツを日常的に行っている人は、特に注意しなければなりません。
骨盤前傾の治し方
痛みや疲労感、臓器の不調など、あらゆるデメリットをもたらすのが骨盤前傾です。そのため、骨盤前傾であることが発覚した場合は、早期に対策するようにしましょう。そこで本項では、骨盤前傾の治し方をご紹介します。手軽にできる方法もありますので、ぜひ日常生活に取り入れてみてくださいね。
日常生活の見直し
骨盤前傾の治し方で、最も簡単に試せる方法です。骨盤前傾は、歩き方や座り方、日々行う動作によって発生します。つまり、これまで行ってきた動作の見直しを行えば、改善が期待できるのです。まずは、猫背になっていないか、歩き方や座り方は一方に偏っていないか、生活を確認してみましょう。
ストレッチと筋トレの組み合わせ
骨盤前傾は、筋肉の硬化と不足で発生します。そのため、筋肉の硬化を防ぐストレッチと、筋肉の不足を解消する筋トレがおすすめです。
ストレッチでは、腰部脊柱起立筋群(ふくぶせきちゅうきりつきんぐん)、腸腰筋(ちょうようきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)、大腿直筋(だいたいちょっきん)を中心に軟化させるようにしましょう。筋トレでは、腹筋と大臀筋(だいでんきん)を鍛えるトレーニングが最適です。
矯正グッズの活用
ストレッチやトレーニングが苦手な人は、骨盤矯正グッズを活用しましょう。座るだけのグッズや、コルセット型、ポールタイプのグッズなど、様々な矯正グッズが登場しています。各グッズは、生活習慣によっておすすめ度合いが違うため、自身の生活に合っているアイテムを選ぶようにしましょう。
たとえば、座り作業が多い人には座るだけの骨盤矯正グッズが最適です。立ちながらの作業が多い人は、立ちながらでも使用できるコルセット型をおすすめします。自宅での時間が比較的とりやすい人には、入念にほぐせるポールタイプが良いでしょう。ただし、何れの骨盤矯正グッズも、使い続けなければ本領を発揮できません。そのため、長期的に使い続けられるアイテムを選ぶようにしましょう。
専門家の治療
腰痛や骨盤痛など、一般的な日常生活を送っているにも関わらず痛みを感じている人や、過ごしにくさを感じている人は、専門的な治療を検討しましょう。整体や整骨院、病院への通院などです。病院の場合は、整形外科を受診しましょう。ただし、女性の場合は婦人科系の要因も考えられるため、婦人科や産婦人科の受診もおすすめします。
骨盤前傾を改善して快適な生活を送ろう
骨盤前傾は、悪化すると生活に多くのデメリットをもたらします。日常生活を送るのが辛くなったり、1人での生活が難しくなるケースもあるため注意が必要です。まずは、自分の骨盤の様子を正しく理解してみましょう。そして骨盤前傾だと発覚した際は、日常生活の見直しや、専門的なグッズの活用、通院するなど最適な方法を実践してくださいね。