骨盤体操を続けてみよう
上半身と下半身を支え、臓器や血流にも影響を与える骨盤。歪んだり前方向・後方向に傾くと、様々な不調が表れるようになります。そのため、日頃からケアをしておかなければなりません。特に、産前・産後や加齢とともにバランスが崩れてしまいやすいため、ケア方法を日常生活に取り入れておく必要があります。そこで本記事では、自宅で簡単にできる骨盤体操9選をご紹介しましょう!年齢に関係なく取り組める体操や、特定の不調に効果を発揮する体操まで詳しく解説していきます。
目次
■骨盤体操とは?
健康や美容に興味のある人であれば、骨盤体操という言葉を聞いたことがあるでしょう。しかしながら、骨盤体操の内容まで知らない人や、本当に自分に必要な骨盤体操がわからないといった人まで様々です。そこで本項では、骨盤体操とはそもそもどういった体操なのか紹介します。また、骨盤体操で得られるメリットと、骨盤体操のデメリットまで解説していきましょう。
骨盤体操とは
骨盤体操とは、その名の通り骨盤に特化した体操です。骨盤は、身体の中央にあり、上半身と下半身を繋ぐ役割を持っています。周辺には重要な臓器と多くの血管が集結し、リンパも流れている重要な部位です。
また、日常生活や怪我の影響を受けやすく、歪んだり傾いたりするのも特徴だと言えます。左右の高さが変わったり、前後どちらかに傾くなど、変動しやすい部位です。このように骨盤が前後左右に変動すると、上半身と下半身のバランスが崩れ、姿勢の乱れや痛みが生じます。さらに、周辺に集まる臓器や血管が圧迫され、循環器系にも不調が発生するようになるのです。
骨盤体操は、こうした不調を改善し防ぐために考えられました。日常生活の中で続けていくことが重要なため、自宅や狭いスペースで行えるものが多く、数十秒から数分と短い時間で完了できるのも特徴です。
骨盤体操のメリット
骨盤体操のメリットは、大きく分けて2つあります。1つ目は、骨盤位置の正常化です。骨盤体操を続けると、傾き歪んだ骨盤が正しい位置に戻ります。正しい位置に戻ると全身のバランスが整い、循環器系や消化器系の不調改善も大いに期待できるのです。また、外見的変化も表れるためモチベーションを維持しやすく、骨盤体操には心理面へのポジティブな影響もあります。
2つ目は、骨盤位置変動への予防です。骨盤は、常に正しい位置に居続けられるとは限りません。骨盤体操を行い正しい位置に戻したとしても、骨盤体操をやらなくなったり、日常生活が大きく変わると、前後左右に傾く可能性があるのです。骨盤体操は、こうした変動を防ぐメリットも持っています。体操の種類によって異なりますが、毎日行う必要はありません。2日~3日おきに行ったり、1週間に数回行う程度で、骨盤の乱れを防ぐことができるのです。
骨盤体操のデメリット
骨盤体操そのもののデメリットではありませんが、骨盤体操にはデメリットがあります。1つ目は、間違った方法を実践する場合です。骨盤体操は、正しい方法を続けなければ逆効果になってしまいます。骨盤の歪みが激しくなったり、骨盤以外の部位に痛みが生じたりなど、不調を拡大させる懸念があるのです。骨盤体操は、自分の身体に合っているか、正しいやり方ができているのか確認しながら実行しましょう。
2つ目のデメリットは、好転反応です。正しい骨盤体操を行うと、一時的な不調や疲労感を感じるようになります。骨盤体操を正しく行えているという証明ではありますが、不快感がともなうためデメリットとしてあげさせていただきました。好転反応は、骨盤体操を続けているうちに次第に弱くなり、ほとんど発生しなくなります。
骨盤体操9選
それではさっそく、骨盤の歪みや前傾・後傾を改善する骨盤体操9選をご紹介します。いづれも簡単に行える体操です。ぜひ、日常生活に取り入れてみましょう。
①簡単にできる骨盤体操
簡単にできる骨盤体操をご紹介します。まず、両手を腰に置き、肘と肋骨が平行になるように姿勢を正しましょう。立ち姿勢でも、座り姿勢でもかまいません。椅子に腰掛けながら行う際は、背もたれに背中がつかないように浅く腰掛けます。
次に、上半身は胸を張りながら軽く倒し、腰を反らせていきましょう。骨盤が後ろに引っ張られるイメージです。この時、猫背にならないよう注意してください。3秒間姿勢を維持したのち、身体の力を抜きます。今度は反対に、骨盤を前にスライドさせるように突き出し、背中を丸めましょう。へそを覗き込むようなイメージです。
立って行う場合は、骨盤の前後のスライドに加えて、左右への突き出しも行ってみてください。左右に動かす際は、できるだけ頭部が動かないように意識しましょう。この動作をそれぞれ10回ほど繰り返せば完了です。
②腰痛を改善する骨盤体操
腰痛を改善、予防する骨盤体操をご紹介します。まず、仰向けに寝転がります。両膝を90度に立てましょう。両手は、手のひらが床についていれば、どこに置いても問題ありません。仰向け姿勢が苦しい場合は、背中と床の隙間に手を差し込むと楽になります。
次は、骨盤を天井側に持ち上げてみましょう。坐骨(ざこつ)が床から離れる程度です。この時、背中が浮いてしまわないように注意しましょう。この動きを、10回~20回繰り返します。
腰痛が酷い場合は、回数を減らしても問題ありません。できるだけ毎日行うことが望ましいですが、2日~3日に1回の程度行えば骨盤の改善が期待できます。
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③寝ながらできる骨盤体操
運動中級者におすすめする、インナーマッスルも鍛えられる骨盤体操です。まず、仰向けに寝転がり、両手を頭の後ろで組んでください。次に、左膝を曲げ、腹部につけるようにイメージしながら右方向にねじりながら持ち上げます。
上半身は右肘が左膝にくっつくように捻りながら起き上がりましょう。膝と肘がくっつくのが理想ですが、くっつかなかったとしても問題ありません。右のわき腹に力が入っていれば、正しい姿勢で行えていますよ。姿勢を維持しながら、右脚を床から持ち上げましょう。20回ほど、右脚を上げ下げすれば完了です。インナーマッスルと呼ばれる大腰筋(だいようきん)の他、腹筋や背筋も鍛えられるため、ボディメイク効果も期待できるでしょう。
④立ったままおこなう骨盤体操
立ったまま行える骨盤体操をご紹介します。立った姿勢のまま、右脚を前にし脚を交差させましょう。前に出した右脚に重心を置き、上半身を右側にゆっくりと倒していきます。左の骨盤の外側が伸びていると感じられれば正しい姿勢です。上半身をできるだけ倒したのち、そのままの状態を5秒間維持します。
反対側も同様です。今度は左脚を前に、右脚を後ろに交差させ、上半身を左側に傾けていきます。そのままの状態を5秒間維持し、この動きを3セット繰り返しましょう。骨盤の位置が正常になるだけではなく、ヒップアップ効果も期待できる体操です。ちなみに、上半身を傾ける際、どちらか一方が辛いまたは傾けにくいと感じた人は、骨盤が左右どちらかに傾いている可能性があります。
⑤高齢者におすすめする骨盤体操
年齢に関係なく、簡単に安全に行える骨盤体操をご紹介します。まず、椅子を用意しましょう。太ももの半分程度が椅子に触れるように、軽く腰掛けます。両手は、肩幅に下ろし、椅子を持つようにしましょう。
右側の骨盤を背もたれ側に引き、左側の骨盤を前方に突き出します。椅子に座りながら、お尻歩きしているようなイメージです。この動きを、20回~30回繰り返します。転倒の心配がなく、身体へも大きな負荷がかからないため、年齢に関係なく取り組める体操です。
⑥妊娠中におすすめする骨盤体操
妊娠中でもできる骨盤体操をご紹介します。ただし、妊娠中は身体が非常にデリケートなため、くれぐれも無理をしないようにしましょう。まず、仰向けに寝転がり、両膝を90度に曲げます。この時、両膝をくっつける必要はありません。肩幅程度に開いたままで行いましょう。両かかとの間が、30cm~40cmほど離れていれば問題ありません。
左側に両膝を傾けてください。同時に、右脚の裏で地面を踏み込むイメージです。無理のない範囲で膝を倒せたら、反対側も同様に行います。右側に両膝を傾けてみてください。左脚の裏で、地面を踏み込むイメージです。また、両方の脚の裏が床から離れないよう、意識するのもポイントです。回数は決まっていませんが、左右それぞれ5回程度行うようにしましょう。もちろん、少しでも辛いと感じた時は、すぐに骨盤体操を中断してくださいね。仰向けに寝転がる姿勢が辛いと感じる人は、腰にバスタオルを折りたたんで入れたり、クッションを使うなど、骨盤高位を保つと楽になります。
⑦産後におすすめする骨盤体操
産後の骨盤ケアにおすすめする骨盤体操をご紹介します。まず、仰向けに寝転がり、両膝を90度に曲げてください。左脚のかかとを、右膝に乗せます。次に、左脚のかかとが乗ったままの右脚を、グッと腹部に寄せるように持ち上げましょう。
骨盤が床から離れ、背中が浮いていなければ正しい姿勢で行えています。このままの姿勢を維持し、30秒数えてください。呼吸を忘れずに行うのがポイントです。反対側も同様に行います。右脚のかかとを左脚の膝に乗せ、左の太ももを持ち上げながら腹部に寄せましょう。30秒数えて、修了です。この体操は、片脚30秒ずつ、計1分で完了します。産後の忙しい女性でも、続けやすい骨盤体操です。
⑧頻尿におすすめする骨盤体操
椅子に座り、脚を肩幅程度に開きます。脚の裏と床がぴったりとくっついている必要があるため、高さの合う椅子を利用しましょう。両手は肩から垂直に下ろし、楽に開いた状態でかまいません。
このままの姿勢で、肛門から臀部にかけて力を入れていきます。外側から内側にかけて、絞るようなイメージです。肛門まで力が入ったら、12秒~14秒キープしましょう。慣れてきたら、肛門を腹部に引き上げるようなイメージで、さらに力を加えてみてください。キープする秒数は、同じく12秒~14秒です。12秒~14秒キープした後は、下半身の力を抜き40秒数えます。
この骨盤体操のポイントは、締める・緩めるを繰り返すところです。締める時間を長くするよりも、締める・緩めるを繰り返すことによって、頻尿に深く関わる骨盤底筋群を鍛えることができます。また、立った状態で行っても同様の効果が得られるため、空き時間さえあればどこでも手軽にできる骨盤運動です。
忙しい男性におすすめする骨盤体操
忙しい男性でも立ったままできるおすすめの骨盤体操をご紹介します。まず、脚を肩幅よりも広めに開きます。広めと言っても、握りこぶし1つ分ほど広く開いていれば問題ありません。次に腰の後ろで、両手を組みましょう。指を交差させ、力強く握るのがポイントです。
腰の後ろで組んだ手を、床方向に引っ張るように下げましょう。そのままの状態で、首を右に傾けます。無理に頭を下げようとせず、頭の重さだけで自然に下げるイメージです。頭を倒しきった状態で、15秒数えます。左側も同様です。左側に頭を下げ、15秒数えましょう。次に、頭を後ろへ倒します。天井がしっかり見えれば、正しい姿勢です左右と同じく、15秒キープしましょう。右、左、後ろで1セットとカウントし、1日3回程度行うのが理想です。一度に全て完了する必要はなく、空き時間を活用して、それぞれ行っても問題ありません。
注意点としては、首を無理に倒し過ぎないようにすることです。首を無理に倒すと、肩や首が痛くなってしまいます。また、一度に複数のセットを急いで行おうとすると、立ち眩みやめまいが発生する可能性もあるため、慣れるまでは朝、昼、晩とセットを分けるのがおすすめです。
骨盤体操を続けてみよう
骨盤ケアは、性別や年齢を問わず、取り組まなければなりません。なぜなら、全ての人にとって骨盤は重要な部位だからです。骨盤が歪んだり傾くと、姿勢が悪くなったり、痛みが生じたりなど、様々な不調が発生します。
また、冷え性や便秘を悪化させるなど、デメリットが非常に多いのです。そのため、日常生活に骨盤運動を取り入れ、骨盤ケアを意識してみてくださいね。骨盤は、ケアをすることで正常な位置を保っていられるようになります。