骨盤は正しく締めるように意識して!
骨盤を締めるだけで“アッサリ痩せる”と聞いたことはありませんか?骨盤を締めるだけで体重の減少やボディメイク効果が得られるのであれば、その方法を知りたいと思いますよね。そこで本記事では、骨盤を締める正しい方法6選をご紹介しましょう。「骨盤を締めるとはどういうこと?」「デメリットが怖い」といった人のために、メリット・デメリットまで詳しく解説していきます。
目次
骨盤を締める(しめる)とは?
”骨盤を締める”というワードは、ヨガ・ピラティスレッスンなどでも度々聞かれる言葉です。骨盤そのものをキュッと引き締めるような、骨を可動させるようなイメージを持っている人も少なくありません。
正しくは、インナーマッスルにより骨盤を正常な位置で保つ状態のことです。骨盤は3つの骨から構成されているのですが、その中の仙骨(せんこつ)と寛骨(かんこつ)を繋ぐ仙腸関節(せんちょうかんせつ)を正しく安定させた状態で維持し続けることを意味します。
安定させるために必要になるのが、腰付近にある多裂筋(たれつきん)であり、インナーマッスルと呼ばれる部分です。多裂筋は、仙骨を頭頂部側へ引き上げる役割を持っています。仙骨が引き上げられると、骨盤を形成するもう一つの骨である寛骨が安定し、仙腸関節及び骨盤がネジが締まった状態になり安定するというわけです。
また、インナーマッスルの腹横筋(ふくおうきん)の働きも重要になります。胸部の下部にあるコルセットのような形をした筋肉です。腹横筋は、骨盤や仙腸関節を包み込むように位置し、身体内部に向けた圧力をかけ安定させる役割を持っています。つまり、骨盤を締めるとは、インナーマッスルにより骨盤、仙腸関節ともに正常な位置で固定する状態のことです。
骨盤を締めるメリット
骨盤を締めると「簡単に痩せられる」など、巷には骨盤を締めることで得られるメリットに関する情報が溢れています。しかしながら、それらの情報が本当に正しいとは限りません。そこで本項では、骨盤を締めることで得られる本当のメリットをまとめました。
ヒップアップ
骨盤を締めると、ヒップアップ効果が期待できます。骨盤を締めるとは、仙腸関節が正しく機能し、仙骨が頭頂部側に引き上がった状態です。仙骨とは、臀部の中央部付近にある手のひら程度の骨であり、臀部の肉付きに深く関わっています。
仙骨が正しい位置にあると、臀部の肉は背中と垂直に、つまり背中側に寄りハリのあるぷっくりとした肉付きになるのです。ところが仙腸関節が緩み仙骨の位置がずれると、臀部の肉は地面側に付きやすくなります。いわゆる洋ナシ体型に近い状態です。
姿勢の改善
骨盤を締めると、姿勢の改善が期待できます。インナーマッスルが正常に働き骨盤の位置が安定すると、骨盤に繋がる上半身・下半身のバランスが整い、自然と姿勢が整うのです。生活習慣の大きな変化により、現代人には猫背、反り腰、平背(フラットバック)など正しい姿勢ではない人が増えています。
〇猫背・・・緊張性頭痛/肩こり/五十肩/胃腸障害/慢性・急性腰痛/椎間板ヘルニア
〇反り腰・・・慢性・急性腰痛/腰椎分離症/腰椎すべり症/背中の極端な疲労感
〇平背・・・急性腰痛/泌尿器疾患/消化器疾患/下肢のしびれ/臀部の緊張感/太もも後方の緊張感
上記のように、正しくない姿勢には様々なデメリットが存在します。そのため、骨盤を締め姿勢を改善するだけで、日常生活に劇的な変化が期待できるのです。
むくみの解消
骨盤を締めると、身体全身のむくみの解消が期待できます。骨盤を締める効果は、下半身のみのむくみ解消と考える人がいますが、正確には間違いです。骨盤は、上半身と下半身を繋ぐ大切な部位であり、双方と連動しています。また、骨盤を締めるには、上半身のインナーマッスル強化が必要です。
そのため、骨盤が締まっているということは、上半身・下半身ともに整っている状態であり、血液やリンパが正常に流れるため、全身のむくみ解消に繋がります。起きた瞬間に顔がむくんでいると感じたり、脚の甲を指で押したとき跡がなかなか消えないと感じたことはありませんか?身体に余分な水分または老廃物が溜まった状態であり、むくんでいると判断できます。骨盤を締めると、こうしたむくみが解消され、外見的な変化も期待できるでしょう。
痩せやすい身体
骨盤を締めると”痩せる”ではなく、”痩せやすい身体”になります。骨盤を締めるだけで、体重が落ちていくわけではありません。骨盤周辺には、様々な臓器が集合しています。そのため骨盤が締まっていない状態、つまり位置がずれていると重要な臓器が圧迫され代謝不良を起こしてしまうのです。
臓器の代謝機能が低下すると、エネルギー代謝が悪くなり、脂肪を燃焼する熱代謝まで低下してしまいます。また全身のバランスが崩れ、筋肉がより働きにくくなり、さらに脂肪を燃焼しにくくため込みやすい身体になってしまうのです。
骨盤を締めると全身のバランスが整い、臓器や筋肉のエネルギー代謝が正常になります。エネルギー代謝の正常化は、脂肪を燃焼しやすくため込みにくくなるため、軽い運動や日常生活の歩行程度で痩せやすくなるのです。
O脚・X脚の軽減
骨盤を締めると、O脚(内反膝)やX脚(外反膝)の軽減や予防に繋がります。O脚は、膝が外側に開いた状態であり、X脚は両膝がくっつくほど内側に湾曲した状態です。
O脚・X脚を放置していると、変形性膝関節症、足底筋膜炎、外反母趾などの症状が生じる可能性があります。経過とともに、歩行や長時間の運動が難しくなる恐れもあるのです。脚の形が気になりファッションが限定されたり、重い物が持てなくなるなど、日常生活にも影響を与えます。
また近年では、O脚・X脚の複合型であるOX脚と呼ばれる変形型も登場する程、脚の歪みが加速化しているのでより注意が必要です。骨盤を締めると下半身のバランスが正常化され、こうした変形型も発症しづらくなります。
骨盤を締めるデメリット
骨盤を締めることそのものに大きなデメリットはありません。しかしながら、骨盤を正しく締めないことでデメリットが生じます。そこで本項では、骨盤を間違った方法で締めると生じるデメリットを解説していきましょう。
血流が悪くなる
骨盤を締めるグッズとして、骨盤矯正ベルトやコルセットが販売されています。装着するだけで、骨盤の安定をサポートできる優良なアイテムです。しかしながら、締め付けるほど効果が高いと勘違いする人が多く、自分の身体に合わないサイズの物を使用する人が後を絶ちません。
サイズの合わない物を使用すると、血液やリンパの流れが悪くなり、冷え性やむくみ、老廃物の排出不全を引き起こすなど多くのデメリットが生じます。骨盤矯正ベルトやコルセットは、骨盤の安定をサポートするアイテムであり、正しい使い方によって効果を発揮する物です。くれぐれも無理矢理に矯正しようとせず、自分のサイズに合ったアイテムを使用するようにしましょう。
腰痛が悪化する
骨盤を正しく締めないと、腰痛やその他の痛みが悪化する可能性があり注意が必要です。骨盤体操や骨盤ストレッチなど、骨盤の位置を正常化する方法は様々ありますね。しかしながら、自分の骨盤の状況に応じた適切な方法を実践しなければなりません。
たとえば、自分の骨盤は前傾型にも関わらず、後傾型用の対策を試みてしまうなどです。筋肉不足による骨盤の歪みなのに、コルセット等を使用し、筋肉強化を試みないのも間違っています。つまり、骨盤体操や骨盤矯正グッズを使用する前に、自分の骨盤の様子を正しく把握することが重要なのです。自分の骨盤が前傾型なのか後傾型なのか知りたい人は、下記記事を参考にチェックしてみてくださいね。
【骨盤前傾特集】日本人は骨盤前傾・後傾どちらが多い?簡単チェック法と骨盤前傾が身体に与える影響について詳しくはこちら
骨盤後傾型は前屈ができない?骨盤が後傾する原因とデメリット7つについて詳しくはこちら
骨盤を締める方法5選
本項では、骨盤を正しく締めるおすすめの方法5選をご紹介しましょう。前項でもご紹介したとおり、まずは自分の骨盤の状態を正しく把握する必要があります。正しく把握したのち、下記方法から適切な改善策を選んでみてくださいね。
①骨盤を締めるヨガ
骨盤を締めるヨガ4種類をご紹介します。1つ目は、仰向けの合せきのポーズです。両方の脚の裏を合わせ、股関節を開いた状態で座ります。両手は、脚の親指を握るように軽く置いてください。肩の力を抜いて、床に付けた状態でも問題ありません。この姿勢のままゆっくりと息を吸い込み、吐きながら骨盤を上げます。次に、息を吸いながら背骨上部から背中を床にロールダウンさせましょう。3回~5回繰り返して行います。
2つ目は、半分のハトのポーズです。四つん這いの姿勢から始めます。ゆっくりと臀部を天井側に持ち上げ、膝を伸ばしダウンドッグの姿勢になりましょう。左脚を両手の間に差し入れ、膝を倒します。右脚はピンと伸ばし、足の裏が天井を向くようにしましょう。息を吐きながら、上半身を倒していきます。おでこを床に密着させる姿勢が望ましいですが、無理はしないでください。そのしせいのまま、ゆっくり5回~8回呼吸をします。反対側も同様です。
3つ目は、ワニのポーズです。
仰向けに寝転がり片膝を曲げ、両手で抱えるように胸部に引き寄せます。曲げた左脚の膝を、右手を使って外側から右側に押し込みましょう。もう一方の左手は、手のひらを床につけ楽にしてください。息を吐きながら、頭部ごと目線を左側に向けます。5回~8回呼吸をしたのち、反対側も同様に行いましょう。
4つ目は、牛の顔のポーズです。股関節周りの硬化を解き、骨盤を整えます。両脚を前に伸ばして座り、左脚を上に、右脚を下にクロスさせ両膝を重ねましょう。胡坐(あぐら)ではなく、脚の甲が床に付き、脚の裏が天井を向くような姿勢です。左手を上に、右手は下から上に向け、背中で両手の指先を掴みます。顎を上げるように目線を上に向け、5回~8回ほど呼吸しましょう。完了したら、反対側も同様に行います。
②骨盤を締めるベルト・コルセット
骨盤を締めるサポートグッズとして、ベルト型やコルセット型のアイテムがおすすめです。装着するだけなので簡単ですし、動きもスムーズになるため、忙しい人に適しています。注意点は、自分のサイズに合ったアイテムを使用することです。
骨盤矯正ベルトや矯正コルセットは、強い力で締め付ければ効果が高まるようなアイテムではありません。血流が悪くなるなどのデメリットが生じるため、購入する前に実際に装着し、自分のサイズに合っているか確認する必要があります。
③骨盤を締める椅子
骨盤を締めるための専用の椅子や、椅子に置くクッション型アイテムもあります。座るだけで骨盤矯正サポートが期待できるため、事務職や長距離運転者におすすめのアイテムです。骨盤矯正サポートチェアを利用する際は、座り方に注意するようにしましょう。形状を無視した座り方や、左右どちらか一方に重心を傾けてしまうと、矯正効果が得られにくくなってしまいます。
④骨盤を締める筋肉トレーニング
骨盤を締める為に必要な筋肉は、骨盤底筋群、多裂筋、腹横筋、大腰筋(だいようきん)、腸骨筋(ちょうこつきん)です。主に腹部から太ももにかけた筋肉が該当します。
ただし、腰や背中に痛みが生じている人は、筋トレではなくストレッチをメインで行うようにしましょう。筋トレにより、痛みがさらに強くなる可能性が高いためです。また、筋トレは継続しなければ、衰えが生じるため、長期的に続けられるトレーニング方法を選択する必要があります。
⑤寝ながらできる骨盤ストレッチ
寝ながら腸腰筋の硬化をほぐす骨盤ストレッチをご紹介します。まず、仰向けに寝転がりましょう。両脚は下方向に、両手は上方向に真っすぐに伸ばします。腕を伸ばすのが辛いと感じる人は、頭の上でクロスさせても問題ありません。
この姿勢から左側の骨盤を浮かせるようにし、体幹を右側にねじりましょう。5秒間静止し、反対側も同様です。交互に1回~3回続けましょう。ポイントは、頭部を動かさないこと、骨盤を中心に上半身・下半身を一体でねじることです。
骨盤は正しく締めるように意識して!
骨盤を締める方法の中には、ヨガや筋トレの他、簡単に続けられる座るだけの方法など様々あります。どのような方法を実践する際も重要なことは、自分の骨盤の状況を理解していることと、正しく締める意識の2つです。骨盤は正しく締めることで多くのメリットを得られる一方、間違った方法を実践すると骨盤の歪みが悪化したり、日常生活にも大きな影響を与えます。ぜひ正しい方法を実践し、快適な日常生活を送ってくださいね。