性交痛とは｜状況別の原因や対策方法まで詳しく解説します！

腟口付近の痛みの場合

膣口付近の痛みは、外陰部や陰唇などの膣開口部周辺です。膣口付近で性交痛がある場合、考えられる原因は以下のようにさまざまです。

膣口付近の痛みの多くの原因は、うるおい不足といわれています。

うるおいとは、いわゆる女性の「濡れる」現象のこと。性的興奮が高まることで下半身に血液が流れ込み、膣壁周辺の毛細血管が拡張されることで潤滑液が生じて、膣がうるおいます。挿入時やその他行為をする際、この潤滑液が不足していると痛みが生じ、さらに粘膜を傷つけてしまうことで性交後も痛みを感じてしまうのです。

このうるおい不足の原因は前戯が不十分であること、出産や動脈硬化、更年期や婦人科の病気、ストレスや緊張と身体的なものから心理的なものまでさまざまです。処女膜が厚い処女膜強靭症、生まれつき膣が厚いなど体質が関係しているといった場合も。このように膣付近の痛みは考えられる原因が多いため、個々の原因に対して治療を行いつつ、痛みが軽減するよう工夫しながらセックスすることが必要です。

腟の奥の痛みの場合

膣の奥の痛みは、骨盤内で感じる痛みです。この場合、考えられる原因は子宮内膜症や骨盤内感染症などの炎症や性感染症です。クラミジア感染症により骨盤内で炎症が起こっている、卵巣腫瘍がある、子宮内膜症で骨盤内の臓器に癒着があるなどの状態が考えられます。炎症や性感染症は悪化すると手術が必要になったり、不妊になってしまう恐れがあります。そのためセックス時に膣奥や下腹部に痛みがある場合、放置せず早めに受診して、原因究明と治療に臨むことが重要です。その際は、痛みを感じる場所やどの程度の痛みであるかが説明できるようにすると良いでしょう。

繰り返し痛みを感じる場合

うるおいが不足しているわけでもなく、膣奥や下腹部といった炎症や性感染症に伴う痛みではないにもかかわらず、セックス時に繰り返し痛みを感じるのであれば心因性の性交痛である可能性が考えられます。

心因性の場合、人によって心理状態や抱える悩みが異なるため、一概に原因を特定できません。たとえば、過去にセックスを強要されたことがトラウマで、セックスに「恐れ」や「嫌悪感」を抱いているなど、性や恋愛に対するネガティヴな経験が性交痛として出現することも。また親から性や恋愛を「悪いこと」「汚いこと」と刷り込まれ育っていくと、大人になっても無意識に罪悪感や恐れを抱くように、潜在的な感情が性交痛として現れる事例もあります。自覚がなくとも過去の経験が潜在的に影響している、偏った考え方がセックスに罪悪感や恐怖を与えるなど、原因はさまざまです。

パートナーと話し合う

まず大切なのは、パートナーと話し合うことです。実際に話し合ってみないと女性に痛みがあるかどうかに気付くことはなかなかできません。我慢してセックスすることで、相手との関係がギクシャクしてしまうこともありまうす。また痛みを感じる中セックスし続けることで痛みがトラウマとなり、心因性の性交痛やセックスレスの原因になる可能性も考えられます。セックスはパートナーありきで成り立つものであるため、お互いがベストな状態でセックスできるようにも、パートナーと話し合うことが重要です。

潤滑剤などを使用する

膣口付近に痛みがある場合、潤滑剤などを使用してうるおいを与えることで痛みが緩和します。潤滑剤は種類も多く、膣に直接塗布するものからコンドームに潤滑剤が多く含まれているものとさまざまです。潤滑剤はなるべく刺激が少なく、潤滑効果が持続するものを選んでみてください。

産婦人科に相談する

根本的に性交痛を改善したい、炎症や性感染症の可能性がある場合、産婦人科に相談することが大切です。特に更年期による女性ホルモンの減少が原因で起こる性交痛の場合、ホルモン補充療法を行うことで根本的な性交痛の改善が期待できます。

炎症や性感染症の場合は、きちんと診断を受けて適切な治療をしないと治りません。そのまま放置して悪化してしまうと、不妊症の原因にもなってしまいます。また炎症や性感染症でなくとも、性交痛の原因がわからない場合も産婦人科に相談することがおすすめです。性交痛は考えられる原因が多く自分たちで特定するのが難しいからこそ、専門家に診てもらうことが一番効率的な対策方法でしょう。