骨盤底筋は産後女性だけが鍛えるものではない!男性にこそ知ってほしい骨盤底筋のメリット・デメリット
骨盤底筋は産後女性だけが鍛えるものではない!男性にこそ知ってほしい骨盤底筋のメリット・デメリット
そもそも、骨盤底筋はどこいあるのか、どういった役割を持っているのか正しく理解していますか?身体を筋肉を鍛えるためには、それがどこにあって普段どのような使われ方をしているのか理解しておかなければなりません。
骨盤底筋を「尿漏れを防ぐためだけの筋肉」と考えている人は間違いです。骨盤底筋は尿漏れなど排せつ系機能に深く関わる組織ですが、排せつ関連だけではない重要な役割があります。
骨盤底筋を正しく効率的に鍛えるためにも、まずは正しい知識と役割を理解してみましょう。
骨盤底筋の役割
骨盤底筋の役割
骨盤底筋とは、男性器周辺に存在する筋肉群です。ヘソ下の下腹部から男性器を通り、肛門から尾骨までを覆うような位置にあります。骨盤底筋という名称から、腹筋や背筋のように一塊の大きな筋肉だと思っている人も珍しくありません。
しかし骨盤底筋は、骨盤周辺に存在する多くの筋肉の総称であり、骨盤底筋群つまりいくつもの筋肉や靭帯が集まった場所の名前なのです。
一塊の筋肉であれば、筋肉の一部分にでも負荷をかけられれば筋肉全体を鍛えることに繋がります。ところが骨盤底筋は複数の筋肉や靭帯の集合体なので、部分的に負荷をかけても全体を鍛えることができません。
一部分だけに負荷をかけてしまうと、トレーニング効果が得られないばかりか、痛めたりトラブル誘発にも繋がってしまうのです。これが、骨盤底筋を鍛える難しさであり、「効果が感じられない」男性が多い要因です。
骨盤底筋を鍛えトラブル解消と多くのメリットを受け取るためにも、筋肉の役割や位置を正しく把握しておきましょう。
鍛えるメリット
鍛えるメリット
骨盤底筋を鍛えるメリットは、いくつもあります。例えば、姿勢の維持による身体の痛み解消です。骨盤底筋は臓器や筋肉、骨を正しい位置に保つ役割を持っています。
鍛えることにより、身体の歪みを解消し腰痛や肩こりの改善や、眼球疲労の改善にも繋がるのです。さらに、姿勢が整うことにより代謝や血流も活発化し、ダイエット効果も見込めます。
様々な部位のトレーニング効果も高めることができるのです。狙った筋肉に確実に負荷をかけられるようになり、健康効果から体質改善効果まで期待できます。また、骨盤底筋は性生活にも大きく影響します。
骨盤底筋の位置からもわかるように、骨盤底筋は男性器の根元を支える筋肉群です。鍛えることにより、勃起時の力強さと持続力も得ることができます。尿漏れ改善も、骨盤底筋を鍛える大きなメリットです。
持病以外で発生する尿漏れは、臓器が正しい位置に保たれていないことによる圧迫、コントロール不良が影響しています。
骨盤底筋を鍛え、臓器それぞれの正しい位置に固定することにより、尿漏れから排便コントロールと排せつ系をスムーズに行えるようになるのです。
衰えるデメリット
衰えるデメリット
骨盤底筋が衰えるデメリット、衰えた状態で放置するデメリットについてもご紹介しましょう。骨盤底筋が衰えることにより発生するデメリットの1つが、排せつに関連するトラブルです。
骨盤底筋が衰えると臓器が正しい位置で保たれなくなり、ちょっとした力みで尿漏れするようになります。これは、産前産後の女性に頻発する症状であり、そのため骨盤底筋は特に女性が気にしなければならない筋肉群として広まったのです。
近年のライフスタイルの大きな変化により、妊娠出産を経験していない男性陣にもこのような症状が発生するようになりました。
働く男性にとって、尿漏れや排せつ系トラブルは非常に厄介なものです。衣服を汚すばかりか、体臭の悪化や自信の低下など様々なデメリットが併発してしまいます。
また、骨盤底筋の衰えを放置していると、特に力んだわけでもないのに日常的な動作をしていただけなのに尿漏れするようになってしまうのです。筋肉は使わない状態で放置すると、縮小し機能が低下していきます。
さらに、メリットでも触れたように、性生活にも影響を与えてしまうのです。「勃起しづらい」「射精する前に縮んでしまう」男性はいませんか?
これは、骨盤底筋の衰えにより男性器が正しい位置で固定されず、固定が継続できないことで発生している可能性があるのです。加齢や一時的な状態と勘違いし放置してしまうと、勃起不全や射精障害に繋がる恐れがあります。
骨盤底筋の衰えは、女性よりも男性の方が深刻なトラブルに繋がりやすいのです。
骨盤底筋チェックリスト
骨盤底筋チェックリスト
骨盤底筋の難しさは、鍛えにくいことと衰えに気付きにくい部分です。忙しい現代人、特に男性は骨盤底筋の衰えにすぐに気付けません。小さな身体の変化も、年齢や気分・季節が要因だと片付けそのまま放置してしまうケースが多いのです。
そこでここからは、骨盤底筋が正常に稼働しているのか、衰えトラブルを誘発しているのかチェックしてみましょう。自身の骨盤底筋の現状を理解し、より快適な日常生活を送っていってくださいね。
排泄編
排泄編
まずは、排泄に関する骨盤底筋チェックです。これから紹介する排泄トラブルにいくつ該当するかによって、骨盤底筋の衰えを自認することができます。
1つ目は、排便に要する時間です。全国平均は5分41秒ですが、あなたは排泄にどの程度時間を有していますか?同居家族に「トイレが長い」「早く出てきてほしい」と催促されたことのある男性もいるはずです。
排泄に苦労するのは、骨盤底筋の衰えが関係している可能性があります。排泄に長い時間を有する、スムーズ排泄できない男性は骨盤底筋の衰えを疑ってみましょう。
2つ目は、尿漏れトラブルの頻度です。月に1~2回程度であれば、骨盤底筋の衰えが始まっている可能性があります。くしゃみや大声を出した時、かがんで靴を履いたりお辞儀をした時など腹圧での尿漏れ経験も同様です。
歩いている時や何気ない動作で尿漏れした経験のある男性は、骨盤底筋の衰えが進行中の可能性があります。尿漏れの頻度とどのような仕草で発生したのか、思い出してみましょう。
3つ目は、排泄欲についてです。排泄したいと感じてもあまり排泄できなかった、排泄欲を感じていないのに大量に排泄したという経験のある男性は、排泄コントロールが上手くいっていない可能性があります。
骨盤底筋は膀胱や肛門、周辺臓器に深く関わる筋肉群です。衰えることにより、肛門の伸縮に不調をきたしたり欲求とは真逆の状態が発生する可能性があります。
性生活編
性生活編
最大限に勃起しているのに男性器が柔らかい、射精する前に縮まった中折れを経験したことはありませんか?骨盤底筋は男性器の4分の1を支える筋肉群です。
男性器の不安定さや射精がスムーズにできないのは、骨盤底筋の衰えが関係している可能性があります。また、オーガズムが弱くなった、ED気味という男性も骨盤底筋の衰えを疑いましょう。
骨盤底筋の1つに、球海綿体筋(きゅうかいめんたいきん)と呼ばれる勃起や射精に深く関わる筋肉があります。別名「蟻の門渡り(とわたり)」と呼ばれる部分です。
勃起した時、球海綿体筋も硬くなるのですが、骨盤底筋が衰えている男性はこの部分が硬くなりにくく射精やオーガズム不足になってしまいます。性生活の不調は、年齢だけが原因ではありません。
一度、勃起した時の男性器の様子を確認してみましょう。
日常編
日常編
1日のうち座っている時間が長い、さらに座っている時背もたれに寄りかかっていたり、肘をついて身体を支えている男性はいませんか?長時間座っていることの多い男性は、骨盤底筋が衰えている可能性があります。
背筋を伸ばし、前にも後ろにも傾かず姿勢正しく座っていればまだいいのですが、長時間正しい姿勢でい続けらる男性はそうはいませんよね。日本人は、世界一座っている時間の長い人種です。
そのため、多くの男性が骨盤底筋の衰えを疑わなければなりません。また、自宅でほとんど立っていることがない、特別な運動をしていない男性も要注意です。
骨盤底筋は、意識的に動かしていかなければ衰えやすい筋肉群だと言われています。意識していても上手く鍛えられないというほど、難しい部位です。特別なトレーニングを行っていない、仕事柄座っていることの多い男性は骨盤底筋の衰えを考えてみましょう。
体型編
体型編
数年前と比較して体重が増加した男性、下半身を中心に肉付きが変わった男性はいませんか?骨盤底筋が衰えると正しい姿勢を維持できなくなり、猫背や反り腰など身体が偏ります。
身体が偏ると代謝や血流が悪くなり、太りやすい身体になっていくのです。体重が変わっていなくても、肉の付き方が変化したという男性も注意しましょう。
前項でも解説したように、骨盤底筋が衰える習慣として座っている時間が長い男性をご紹介しましたね。座り姿勢では、上半身は比較的使うのに下半身はほとんど使われません。
歩く習慣も乏しいため、骨盤底筋が衰え下半身ばかり肉付きが変化しやすいのです。
骨盤底筋を鍛える方法
骨盤底筋を鍛える方法
前項の骨盤底筋衰えチェックでは、いくつの項目に該当したでしょうか。少しでも心当たりのある現象があれば、骨盤底筋の衰えを疑ってみてください。自身の状態が理解できたなら、あとは骨盤底筋を正しく鍛えるだけです。
ここからは、骨盤底筋を鍛える方法を、体勢別にご紹介します。忙しい現代人の場合、過度なトレーニングよりも、いかに続けられるトレーニングかが重要です。1~2回身体に負荷をかけても、劇的な改善は望めません。
どのトレーニング方法が自分に最も合っているか、ライフスタイルを想像しながら読み進めてみてくださいね。
鍛える方法①座ったまま
鍛える方法①座ったまま
まずは、座りながら骨盤底筋を鍛える方法をご紹介します。座りなれた椅子に深く腰掛け、背もたれに背中を着けましょう。この時、猫背になっていないか、反り腰で椅子と背中の間に隙間ができていないか確認してみてください。足と手は自然な形で下に下ろし、特に力を入れずにリラックスしましょう。
姿勢が準備できたら、肛門に力を入れます。肛門の次に男性器、男性器の上の腹からヘソと上に持ち上げるように力を入れていきましょう。
全ての部位に同時に力を入れるのではなく、下から順番に流すように力を入れていくのがポイントです。この流れを5秒かけて行います。ヘソまで力を入れ終わったら、力を抜き完了となります。
肛門からヘソまで力を入れ引き上げるを1セットとカウントし、1日10回~行いましょう。特に回数制限はありませんが、回数をこなすというよりも正しい順番で力を入れていくことを意識します。
どこに力が入っているのか最初は分かりにくいので、手で触って確認しながら行っても問題ありません。また、自宅に椅子がない男性は、床に座った状態でも鍛えられます。
壁にしっかりと背中を着け、膝を立てた状態で座りましょう。この姿勢を維持したまま、肛門から徐々に引き上げるように力を入れていきます。力を入れるのは、ヘソ上程度で問題ありません。
あまりヘソを意識しすぎると腹筋にばかり力が加わってしまうので、注意しましょう。セットの回数は、椅子を使ったトレーニングと同様です。
鍛える方法②寝ながら
鍛える方法②寝ながら
寝ながら骨盤底筋を鍛えるには、仰向け寝そべり膝を軽く曲げておきます。両足の膝同士を、ピッタリとくっつける必要はありません。楽な姿勢で寝そべりましょう。この時、床としっかり背中がくっついているか、肩が浮いていないか確認してみてください。
寝ている姿勢で肩が浮いたり、腰に隙間ができていたり、そもそも寝ている姿勢が楽ではないと感じた男性は猫背または反り腰になっている可能性があります。
仰向けに寝そべった後、肛門から男性器、腹部から胸と筋肉を引き上げるように意識して力を入れていきましょう。お尻や太ももに力が入っていないか、腹筋だけに力が加わっていないか意識する必要があります。
この動作を5秒間かけて行い、1日10回~行いましょう。慣れないうちは使い慣れている腹筋や太ももに力が入りやすいため、陰部だけに力が入るよう注意する必要があります。
鍛える方法③日常生活編
鍛える方法③日常生活編
電車内やコピーの最中でもできる、立ったまま骨盤底筋を鍛える方法をご紹介します。背筋を伸ばし肩から力を抜きましょう。姿勢を正そうと意識すると肩に力が入り、首や背中に負荷をかけてしまう人がいます。
まずは正しい姿勢の維持と、骨盤底筋以外の部位に力が加わっていない状態を作り出しましょう。足は、肩幅程度に開きます。この状態で、肛門をキュッと締めてみてください。5秒間締め、力を抜きを繰り返します。
慣れないうちは過度な力みで放屁や尿漏れの可能性があるので、短い秒数から始めてみてください。この動作に慣れたら、肛門を締めた後下腹部にかけてせり上げるように力を入れていきます。
寝ながらトレーニングや座ったままトレーニングと同様です。骨盤底筋はブリーフのように、男性器を包み込むような帯状の形をしています。
そして、様々な筋肉の集合体なので一部分を鍛えるよりも全体的にトレーニングする方が効果的なのです。肛門の意識的な伸縮だけでも問題ありませんが、慣れてきたらぜひ骨盤底筋全体を意識した引き上げトレーニングを行ってみましょう。
鍛える方法④器具
鍛える方法④器具
骨盤底筋を鍛える様々な器具も販売されているため、トレーニングと併用することによりより効率的に鍛えることも可能です。太ももに挟み込み骨盤底筋に負荷を与えるもの、座布団型で振動する商品など多種多様の商品が販売されています。
しかし、ただ座っているだけ、ただ振動するだけでは骨盤底筋は鍛えられません。立ったままトレーニングと併用したり、座ったままトレーニングと同時に使用するなど、骨盤底筋に正しく負荷をかけなければならないのです。
骨盤底筋を鍛えられる器具は、あくまでも補助と考え、毎日続けられるトレーニングと合わせて使用するようにしましょう。
骨盤底筋を正常に戻し快適な生活を!
骨盤底筋を正常に戻し快適な生活を!
骨盤底筋を鍛える方法は、それほど長時間かかりませんし、誰かにバレてしまうような大掛かりな動作も不要です。そのため、毎日続けるのもそれほど難しくありません。
あとは、どのトレーニング方法がライフスタイルに合っているか、習慣化するまでが重要です。骨盤底筋は意識しなければ鍛えにくい筋肉群ですが、意識してトレーニングを行えば他筋肉と同じように鍛えることも機能を維持することもできます。
トラブルが起き始めていたとしても、改善することは可能なのです。骨盤底筋を正常に戻し、快適な生活を取り戻してみましょう。