骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤を使うメリットを知りスポーツをより楽しんでみよう

姿勢を維持する骨盤は、あらゆるスポーツに関係する部位です。そのため、日常的に運動している人やインストラクターとして働く人は、ぜひ骨盤の正しい使い方を理解しておきましょう。また、日常生活でも重要な役割を担う部位のため、日常生活で何かしらの不調を感じている人も、正しい骨盤の動かし方を理解する必要があります。そこで本記事では、スポーツと骨盤の関係性から、正しい骨盤の動かし方まで詳しくご紹介していきましょう。

目次

骨盤とスポーツの関係性

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤や腰をメインで使用するスポーツがなく、腕や脚の技術を必要とするスポーツが多いため、骨盤とスポーツはあまり関係性がないように思われています。プロ選手やアスリートを除き、骨盤を意識せずトレーニングを続けている人も非常に多いです。しかしながら、骨盤はあらゆるスポーツに関係する重要な部位であり、トレーニング時やケアでは意識しなければなりません。そこで本項では、骨盤とスポーツの深い関係性をご紹介します。

スポーツで骨盤を動かす・活かすとは

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤は様々な役割を担っているのですが、特にスポーツと深く関わっているのが姿勢の維持です。野球やバスケットボールなど、日本で知名度の高いスポーツを想像してみましょう。これらのスポーツでは、インパクト(ボールを打つ・投げる)の前に特定の姿勢を維持していますよね。また、走る・止まるなどの動作時の前後にも特定の姿勢を作り、維持しているのです。骨盤は、こうした姿勢の維持に必要不可欠な部位だと言えます。

骨盤を活用しなければ、上半身や下半身が流れ、速く走ることも特定の場所でピタリと止まることができません。さらに、軸が定まらず、上半身または下半身で生み出したエネルギーを的確にボールに伝えられなくなり、インパクトの精度も落ちてしまうのです。

骨盤を活用する効果

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤を活用しスポーツを行うと、様々な効果が得られます。一つ目は、エネルギーの効率的な使用です。マラソンやランニングを想像してみましょう。マラソンやランニングなどのスポーツでは、肩甲骨と骨盤で生み出したエネルギーを推進力にし、下半身に伝えることで速く走れるようになります。骨盤を活用しなかった場合、生み出したエネルギーを下半身に伝えられず、歩幅が狭くなり速度もあげることが難しくなるのです。走行時のフォームが崩れ、過度な負荷や疲労の蓄積も懸念されます。

二つ目は、やはり特定の姿勢の維持です。ゴルフやサッカー、水泳など、あらゆるスポーツでは、独自に決めた姿勢の維持が必要になります。特定の姿勢が維持できなくなると、ゴルフであればダフリやトップが頻発し、サッカーでは決まった方向にボールを飛ばせない、水泳ではスピードが速くならないなどのデメリットが生じるのです。バレーボールや剣道など、その他のスポーツでも要所で特定の姿勢が見られるため、ぜひスポーツ観戦時に意識してみてくださいね。

三つ目は、リスクの軽減です。骨盤を使ってスポーツを行うと、スポーツ時に生じた衝撃を骨盤が吸収します。骨盤を活用しなかった場合、走行時の衝撃は膝や股関節で受け止めなければならないため、炎症や骨折等のリスクが高くなるのです。また、スポーツは些細な姿勢や動作の違いが大きな事故に繋がります。手を着く場所や脚の角度が数ミリ異なっただけで、次の動作でトラブルが生じることも珍しくありません。そのため、骨盤を活用し正しいフォームや姿勢、動作を続けることは、リスクの軽減に繋がります。

骨盤前傾・後傾スポーツ

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

日常生活での骨盤の位置は、前後左右に傾いていない中立が望ましいとされています。しかしながら、スポーツでは、種目によって理想の骨盤位置が異なるのです。まずは、骨盤が前方に傾いた骨盤前傾型を理想とするスポーツをご紹介しましょう。

〇マラソン
〇サッカー
〇野球
〇ゴルフ
〇テニス
〇ボクシング

骨盤前傾は、トップスピードが必要な競技や、効率よくスピードをあげ維持するスポーツに多い傾向があります。次は、骨盤後傾型を理想とするスポーツです。

〇水泳
〇柔道(武道)
〇ラグビー
〇パワーリフティング

骨盤後傾は、地上以外でスピードにのりやすく、後方動作に適しています。ただし、各選手には得意とする姿勢やフォームがあり、必ずしも上記のスポーツ選手が前傾・後傾しているわけではありません。

骨盤とスポーツに関する疑問・回答8つ

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤とスポーツは密接に関わっているため、関連する疑問や悩みを抱えている人も少なくありません。そこで本項では、骨盤とスポーツに関する疑問と回答をご紹介します。骨盤の位置や使い方、スポーツでの活用方法に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてくださいね。

①スポーツでは骨盤前傾・後傾どちらが正解なのか

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スポーツを行う際、骨盤を前方に傾けるべきか、後方に傾けるべきか悩んでいる人は非常に多いです。前半の項目で解説した通り、骨盤の最適な位置はスポーツによって異なります。水泳のように、水中でスピードを出したいまたは後方への動きが重要であれば、骨盤後傾が理想的です。一方、サッカーや陸上競技のように、トップスピードやアジリティを必要とする競技であれば、骨盤前傾が適しています。ただし、必ずしも特定のスポーツに対して特定の骨盤位置が必要とは限りません。また骨盤前傾ぎみ、骨盤をやや後傾にするなど、前傾・後傾の調整も重要です。

②骨盤ベルトを着用したままスポーツしてもいいのか

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骨盤を正しい位置で固定する骨盤ベルトは、腰痛改善や骨盤の矯正などに用いられる製品です。前後左右に歪んだ骨盤を整えられるため、日常生活で使用する人も少なくありません。この骨盤ベルトを着用し、スポーツしても問題ないのでしょうか。

答えは、問題ありません。骨盤ベルトを着用しスポーツを行うと、骨盤を正しい位置に保ちながら運動できるため、パフォーマンスの向上や怪我の防止にも繋がります。ただし、骨盤の旋回を必要とするスポーツでの使用や、過度な圧迫には注意が必要です。

③骨盤の可動域とはなにか

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スポーツの指導で度々聞かれる骨盤の可動域とは、骨盤そのものの動きを表すこともあれば、骨盤と近い場所にある股関節の可動域を表していることもあります。まず、骨盤の可動域とは、前後左右へ動かせる範囲です。腹筋や殿筋を使い、前後左右にどの程度動かせるかによって可動域が広い・狭いと表現します。

股関節の可動域も同様です。主に大腿四頭筋を利用し、股関節がどの程度柔軟に動かせるかによって可動域が変わります。骨盤の可動域も股関節の可動域も、筋肉量や筋肉の硬化具合によって変動するため、トレーニングとともに硬化を防ぐストレッチが重要です。

④骨盤を動かすコツはあるのか

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骨盤を動かすコツは、筋肉と柔軟性です。まずは、骨盤に関する筋肉をご紹介します。

〇腹横筋
〇腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)
〇内転筋(恥骨筋、短内転筋、長内転筋、大内転筋、薄筋)
〇大体四頭筋(大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋)
〇骨盤底筋
〇殿筋(大殿筋、中殿筋、小殿筋、梨状筋)

肋骨の下から太ももにかけて存在する筋肉が、骨盤に関係する主な筋肉です。これらの筋肉が十分に発達していると、骨盤や股関節を自由に動かしやすくなります。また、骨盤を動かすには筋肉の柔軟性と、靭帯の正常な働きも必要です。骨盤に関する主な靭帯は、下記の通りとなっています。

〇前縦靭帯
〇腸腰靭帯
〇前仙腸靭帯
〇仙棘靭帯
〇腸骨大腿靭帯
〇恥骨大腿靭帯

靭帯が緩んだり硬化すると、関節の安定性や柔軟性が低下します。さらに靭帯は、血流が乏しいため腱と同様に自己修復が難しい部位です。そのため、日常生活の過ごし方やスポーツ時の意識が必要になります。

⑤骨盤を動かすと痩せるのか

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骨盤を動かすと痩せると言われますが、骨盤を正しい位置に戻し日常生活を送ると”痩せやすい身体になる”が正解です。骨盤を正しい位置に戻すと、臓器や血管、リンパ管等が正常に働きやすく、老廃物の排出やエネルギー消費が活発になり、痩せやすい身体になります。

⑥骨盤が動かない原因が知りたい

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スポーツを行っている最中、骨盤を思うように動かせないと感じる原因として、筋肉不足、筋肉の硬化などが考えられます。また、通常の状態で骨盤が前傾・後傾に傾いていたり、左右に歪んでいる場合、スポーツ時に異なる位置に骨盤を稼動させようとしても難しいのです。日常生活では、骨盤が中立(ニュートラル)であることが望ましく、日頃の姿勢が重要になります。

⑦スポーツで骨盤に痛みを感じたら

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スポーツを行っている最中に骨盤に痛みを感じたら、すぐに運動を中止し原因を探りましょう。なぜなら、骨盤は上半身・下半身に連なる部位であり、多くの筋肉や腱が入り組んでいるため、痛みが広範囲に広がりやすいためです。自身の姿勢やトレーニング、ストレッチで解消することもできますが、整体や病院など専門機関の助けが必要になる場合もあります。まずは、痛みが生じる動作、痛みの頻度、痛みの範囲を正確に理解し、正しい解決策を実施しましょう。

⑧スポーツで骨盤を骨折することはある?

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

スポーツで骨盤を骨折する可能性は、十分に考えられます。特に成長期に生じやすい骨盤裂離骨折、骨盤剥離骨折は、その後のパフォーマンスにも大きな影響を与えるため注意が必要です。また、頻繁にスポーツを行う人は、疲労骨折も考えられます。徹底したケアを行うトップアスリートでさえ生じやすい代表的な骨折です。 ちなみに、骨折の他、炎症等の負傷は、行うスポーツによって傾向が異なります。サッカーであれば脚の関節が最も多く、手・指の骨折が多いです。野球は、年齢によって損傷箇所の変化が見られます。(参考:https://www.sportsanzen.org/about_us/grjkkl0000000f3g-att/dchamu000000040t.pdf

骨盤を使うメリットを知りスポーツをより楽しんでみよう

骨盤は全スポーツに関係する?スポーツをする際の骨盤の使い方〇つ

骨盤を活用しスポーツを行うと、パフォーマンスの向上から怪我の防止まで、様々なメリットが得られます。また、パフォーマンスの向上による精神のポジティブな変化も期待できるでしょう。ただし、スポーツで骨盤を十分に活かすためには、日常生活での姿勢、筋肉量、筋肉の柔軟性等が必要です。

骨盤や筋肉の使い方を意識するとともに、自身の骨盤を整えておく必要があります。つまり、明日からいきなり骨盤を活かしてスポーツに取り組もうと思っても難しいのです。そのため、骨盤が前傾・後傾または左右に歪んでいないか確認し、自分の意識に応じて動かすだけの筋肉量が備わっているのか確認してみましょう。