産後でも手遅れではない!骨盤を整えて子どもと快適な生活を
出産のために広がった骨盤を、産後すぐに戻したいと感じる女性は少なくありません。しかしながら、出産直後の女性は非常に忙しく、そして非常にデリケートな状態です。そのため、骨盤矯正をいつから始めればいいのか、どの程度行えばいいのかわからない人も多いでしょう。そこで本記事では、産後の骨盤矯正はいつから始めるべきか徹底解説します。産後女性におすすめする骨盤矯正方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
産後の骨盤矯正はいつから始めるべき?
産後の女性にとって、骨盤矯正は大きな悩みだと言えるでしょう。変化する身体と日常生活に対応しながら、骨盤矯正も行うとなると、頭が混乱してしまうのも当然です。そこで本項では、産後女性が悩んでいる骨盤矯正に関する疑問と回答をまとめました。育児の合間に読み進め、悩みを解消してみてくださいね。
骨盤矯正のタイミング
骨盤矯正のタイミングは、産後直後でも問題ありません。骨盤矯正とは、出産によって通常時とは異なる場所に移動した骨盤を、正しい位置に戻す行為です。妊娠中は、リラキシンと呼ばれるホルモンが分泌され、出産をスムーズに終えられるように骨盤や周辺の靭帯が緩んでいきます。産後からリラキシンは減少し、その影響によって骨盤や周辺の靭帯は自然に戻っていくのです。
しかしながら、骨盤を含む各部位は、妊娠期間である10カ月間もの時間をかけて変化しているため、ホルモンが減少したからといって急速に戻るわけではありません。一般的に、産後3カ月~4カ月の間に徐々に戻っていきます。この期間をできるだけ短く、そして骨盤をより正常な位置に戻すために行うのが産後の骨盤矯正です。少なからず外的な負荷を与えて矯正するため、自身の体調と相談しながら行わなければなりません。
産後の骨盤矯正は保険適用で受けられるのか
産後の骨盤矯正は、保険適用外です。残念ながら、現時点(2024年9月)では、骨盤矯正で保険を使うことはできません。その理由は、骨盤矯正は痛み等の解消ではなく、自由診療に区分されるためです。どれだけ産後に痛みを感じていても、日常生活に不快感が生じていても、骨盤矯正という名目で保険を使用することはできません。
同じような産後時の症例として、乳腺炎や心理サポート等があります。助産師や助産院スタッフによる母乳に関する悩み相談は、病気の治療とは認められない場合があり、保険適用外です。産後の精神的不安感の解消に関する相談も、病気と判断されるまでは保険適用外となります。医師の診断により乳腺炎、産後鬱と診断された場合は、治療が必要になるため保険適用の範囲内です。
整体・整骨院どっちにいくべきか
産後の骨盤矯正または、骨盤周辺の不調を解消するためには、整体・整骨院どちらを利用すればいいのでしょうか。骨盤矯正を受けたいのであれば整体、骨盤矯正の効果を得たいのであれば整骨院がおすすめです。まずは、整体と整骨院の違いを解説しましょう。
整体とは、腰痛や慢性的な身体の痛みなどを解消する施術が受けられる場所です。全身のバランスを整え、症状の再発防止も期待できます。一方、整骨院(接骨院)は、専門的な知識をもった柔道整復師が症状に合わせ、的確な処置を行う場所です。電気治療や温熱パックなど、整体では使用されない専門的な機器を使用する場合もあります。
本題の骨盤矯正ですが、整体では”骨盤矯正”と謳い施術をすることが可能です。整体は民間の資格のみで施術が可能なため、施術に関してどのような名称を設けようと、誇大広告に該当しなければ問題ありません。一方、整骨院(接骨院)を開業するためには、柔道整復師と呼ばれる国家資格が必要になります。柔道整復師には様々な制限があり、骨盤矯正と称してマッサージをすることも”あはき法”で禁止されているのです。ただし、国家資格を保有する柔道整復師は、専門的な知識を持っているため、医療補助的方法を用いた整復施術が行えます。また、整体院では保険が適用されませんが、整骨院(接骨院)は保険適用になることも異なる部分です。
費用(相場)はどのくらい?
骨盤矯正の相場は、2,000円~8,000円です。産後など特殊な状況下の場合は、5,000円~10,000円程度になる場合もあります。骨盤矯正は、一般的に施術の都度支払いを行うビジター料金制です。40分~60分ほどの施術時間を有します。
ただし、一回のみの施術で骨盤が正常になることはありません。施術後は、改善したように感じられるかもしれませんが、数カ月通う必要があります。
何回くらいで効果がでる?
骨盤矯正の理想回数は、個人によって大きく異なります。骨盤に大きな乱れがなければ、8回~16回、3カ月を目安にするのが一般的です。しかしながら、産後の状況は非常に個人差があり、妊娠・出産以前のライフスタイルによる違いもあります。
骨盤は、日常生活のあらゆる動作に影響され、前後左右に偏りやすい部位です。そのため、妊娠・出産前に骨盤の位置が激しく偏っていた場合、出産によりさらに偏りが激しくなることも珍しくありません。こうした状況下では、骨盤矯正の施術回数も増やす必要があります。
行かなかったらどうなる?
骨盤矯正は、必ず行かなければならないわけではありません。行かなかったとしても、誰かに咎められるような行いではないのです。産後の骨盤は、リラキシンの減少により、自然に元の状態に戻ろうとします。戻る速さには個人差がありますが、骨盤矯正を全ての女性が行わなければならないほど、異質な状態で固定されるわけではないのです。
ただし、不調の長期化が懸念されます。産後に骨盤の痛みを感じていたり、腰や背中などが痛く、姿勢の維持が難しいと感じていたり、何かしらの不調を感じている場合は、骨盤の矯正を検討するのもいいでしょう。不調を感じながら育児を続けると、不必要な負担が身体の節々に生じ、痛みを悪化させる恐れがあります。骨盤以外の不調も考えられるため、婦人科等専門機関への相談も有効です。
早すぎると後悔する?
骨盤矯正は、産後直後でも問題ありません。ただし、行う際は自身の身体と十分に相談しましょう。その理由は、産後直後の身体の状態が通常とは異なるためです。産後直後は、骨盤周辺の筋肉や靭帯が損傷している可能性があります。また、産褥期はホルモンの分泌量が急激に減少し、心身のバランスを崩しやすい時期でもあるのです。
そのため、過度に骨盤矯正に注力し過ぎると、身体の不調だけではなく心のバランスを崩す恐れもあります。産後3週間前後は休養をメインにし、3週間以降に徐々に骨盤矯正に取り組んでみるのもいいでしょう。
意味がないって本当なの?
骨盤矯正には、意味がないという噂が存在しますが、これらの噂は正確ではないと言えます。まずは、骨盤矯正の正しい意味について解説しましょう。骨盤矯正とは、骨盤が前後左右に傾いたり、正常な働きができていないと感じた際に、それらを正常化させる行為を意味します。
ここでポイントになるのは、骨盤自体が歪むわけではないということです。骨盤は、複数の骨が連なった部位の総称であり、変形性等の病気がない限り歪んだりしません。骨自体が歪むのではなく、前方・後方に偏ったり、左右差が生じていたり、正しい位置で保てない状態を”歪み”と表現します。骨盤を正しい位置で保てない状況については、論文でも発表されている事実なのです。(参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/14/0/14_59/_pdf/-char/ja)
骨盤矯正は、骨盤周辺の筋肉や腱、上半身・下半身のバランス等を整え、正常な位置で保てるように矯正することを目的としています。そのため、骨盤矯正自体に意味がないという噂は、正確ではないのです。
産後に骨盤矯正しても手遅れ?
骨盤矯正について、妊娠中に行うべきといった噂があり、産後の骨盤矯正は手遅れだと表現されます。しかしながら、骨盤矯正は、いつから始めても手遅れではありません。妊娠中は、骨盤周辺の筋肉や腱を、全力で緩ませようと身体が指示を出している状態です。こうした時期に無理に骨盤矯正を行っても、出産時にトラブルが生じる可能性があるため、産後の落ち着いた時期に始める方がメリットがあるとも言えるでしょう。
産後の骨盤矯正方法4選
本項では、産後におすすめする骨盤矯正方法をご紹介します。
①骨盤体操(産褥体操)
産後の骨盤矯正には、骨盤体操(産褥体操)がおすすめです。骨盤体操は、膝や太ももを適度に動かしながら、同時に骨盤底筋と呼ばれる骨盤の維持に重要な筋肉群も整えられます。また、血液の循環促進や子宮の回復も促すため、産後の女性には大変適した運動です。ただし、始める際には医師の了承を得てから行うようにしましょう。
②骨盤ストレッチ
骨盤ストレッチは、産後女性におすすめの骨盤矯正方法です。トレーニングとは違い、身体への負担が少なく、リフレッシュ効果も期待できるため心身へのポジティブな影響が期待できます。ただし、出産直後は、筋肉や靭帯がデリケートな状態であり、過度に伸ばす行為は避けなければなりません。自身の身体が気持ちいいと感じられる程度にとどめ、身体と相談しながら徐々にメニューを増やしていくのが理想的です。
③骨盤矯正ベルトなどグッズの利用
骨盤矯正ベルトやガードルなど、骨盤矯正グッズの使用もおすすめです。薄手の物が多く、身につけた状態でスムーズに動くことができるため、産後の忙しい女性に適しています。使用開始日は、産後直後が理想的です。出産直後は、骨盤周辺が緩く不安定な状態のため、骨盤矯正ベルトを使用することによってサポートでき、痛みを未然に防ぐこともできます。
④専門機関の利用
産後女性の骨盤矯正では、整体や整骨院(接骨院)、婦人科など専門機関を頼る方法がおすすめです。産後女性の身体は非常にデリケートであり、ホルモンや日常生活の大きな変化によって、自分自身でも判断できない状態が少なくありません。些細な不調だと感じていても、実際には大事の前兆である可能性も十分に考えられるのです。そのため、初産の女性は特に、専門機関の利用を検討するようにしましょう。
産後でも手遅れではない!骨盤を整えて子どもと快適な生活を
産後に骨盤矯正を行ったとしても、それは手遅れなどではありません。自身の身体を整える行為は、いつから始めても問題なく、素晴らしい行為なのです。骨盤を矯正すると、腰や脚の痛みが解消されたり、疲労感が軽減したり、多くのメリットを得られます。ただし、骨盤矯正は無理矢理行うものではなく、身体を酷使してまで続ける行為ではありません。子どもとの生活で最も重要なことは、母親の心身の健康状態です。まずは、出産という大仕事をやり遂げた自身の身体を存分に労わってくださいね。